1999 Fiscal Year Annual Research Report
汽水域における渦鞭毛藻群集の遷移メカニズム -古生態学への応用に向けて-
Project/Area Number |
10640454
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 夏彦 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (90288754)
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Keywords | 中海 / 渦鞭毛藻 / プランクトン / シスト / 古生態学 / 赤潮 / 有毒渦鞭毛藻 / 無殻渦鞭毛藻 |
Research Abstract |
中海での渦鞭毛藻を中心とした微細藻類の調査も2年めに入り引き続き定期調査中心の研究を継続中である.また今年度から採泥試料中の休眠胞子がどのような種類の藻類を水界中に供給しているかを見るため発芽実験も開始した. この1年半の間に中海の渦鞭毛藻群集の今まで知られてこなかった多様性が明らかになりつつある.特に目立つのは小型の無殻渦鞭毛藻の多さである.10μmほどの小型のもので,今までの中海のプランクトン研究ではほとんど無視されてきたものと考えられる.いまのところsmall Gymnodinium complexとしてまとめているが,3〜4種は区別されるものと推測される.また同サイズのHeterocapsa rotundadaの全湖的な存在と数の多さも注目される.さらに赤潮・有毒プランクトン(Harmful microalgae)とされるものが何種類か確認されている.Dinophysis acuminataは有毒渦鞭毛藻だが中海では比較的コンスタントに検鏡中に見つかる.その他Gymnodinium mikimotoiが観察されたが数量的には多くはない.赤潮種としては前述のProrocentrum minimumの他,Noctuluca scintillansが中,底層で赤潮状態になり,塩分濃度との関連が考えられる.その他Scrippsiella trochoideaなど中海では赤潮状態にはならないが赤潮種として知られているものが何種か確認された.渦鞭毛藻ではないがChattonella marinaと思われる個体もミックスカルチャーの中で確認されておりHarmful algaeの観点から中海のプランクトンを見てゆく姿勢と,どのような形で古環境研究にフィードバックできるかを検証する必要性を認識した. 底質中の渦鞭毛藻シストの渦鞭毛藻遊泳体群集への影響は本研究の古生態学への応用という面で最も重要視される面ではあるが,今のところミックスカルチャーで出現するプランクトンの確認作業を進めている段階である.
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