2000 Fiscal Year Annual Research Report
汽水域における渦鞭毛藻群集の遷移メカニズム-古生態学への応用に向けて-
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10640454
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Research Institution | OSAKA INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
小島 夏彦 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (90288754)
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Keywords | 渦鞭毛藻 / 従属栄養種 / シスト / 無殻渦鞭毛藻 / 赤潮 / 汽水域 / 中海 / 独立栄養種 |
Research Abstract |
本研究では汽水湖中海で2年間,水質,渦鞭毛藻群集,休眠胞子(シスト)の定期的な調査を行い,(1)中海に生息する渦鞭毛藻群集の実態,(2)これら渦鞭毛藻群集が環境変化の中でどのような変動を見せるのかを明らかにすることができ,(3)群集変動はどのようなメカニズムのもとで起きているのかについて手がかりを得た.これらのことは今後の汽水域での渦鞭毛藻研究の指針になるものと考えられる.中海の渦鞭毛藻群集として32種が認識された.以前の中海におけるプランクトン調査では渦鞭毛藻は多くて数種が認識されていたにすぎない.したがって本研究で初めて中海の渦鞭毛藻群集の実態が明らかになったと言える.この群集で優占し,しかもほぼ周年観察されるものとしてProrocentrum minimum,Heterocapsa rotundata, small Gymnodinium complexがあげられる.特にProro.minimumの赤潮状態にも至る圧倒的な優占と無殻渦鞭毛藻の多様性の高さが中海渦鞭毛藻全体の特徴として指摘できる.中海では上述したように3つのグループが周年存在するがその個体数の変動は激しい.群集変動のメカニズムについては,汽水域が極めて環境変動が激しいことから,環境が短期間に大きく変化するような場所では常に環境状態をモニターできる状況に渦鞭毛藻が存在することが他種に対してアドバンテージを得ることになると考えられる.これはどういう形にしろ周年水中に遊泳体として存在することが環境変化に対する素早い対応を導くことを意味する.その意味では本湖で優占する上記3グループのほとんどがこの条件のもとに生息し,汽水環境に適応していると言える.これらのことから,シスト形成種は不適環境をしのぐための適応と考えられてきたが,汽水環境では特に独立栄養種は,シスト形成についてはそれほどプラスには働かないと考えられる.以上のことを考慮すると,古生態学へ渦鞭毛藻シスト群集を応用する時に過去のシスト群集がその当時の汽水湖の遊泳体群集を忠実に反映しているとは考えにくい.そのような状況を考えれば中海底質に多い従属栄養種のシスト群集の遊泳体群集の中での働きをさらに調べる必要があろう.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kobayashi,S.,Kojima,N.,Itakura,S.,Imai,I and Matsuoka,K.: "Cyst morphology of a chain-forming unarmored dinoflagellate Gyrodinium impudicum Fraga et Bravo."Phycological Research. 49(in press). (2001)
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[Publications] 小島夏彦,三浦常廣,中村幹雄: "中海の渦鞭毛藻(予報)"島根県内水面水産試験場報告. 1(印刷中). (2001)