1999 Fiscal Year Annual Research Report
圧力誘起相転移のカイネティクスに影響を及ぼす要因の定量的評価
Project/Area Number |
10640463
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 隆哉 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20243131)
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Keywords | 圧力誘起相転移 / メカニズム / カイネティクス / 高温高圧 / ダイヤモンドアンビルセル / 放射光 / 外熱式ヒーター |
Research Abstract |
PbO_2のルチル型からα-PbO_2型への相転移のカイネティクスへの実験パスの与える影響を研究した。外熱式のダイヤモンドアンビルセルを開発し、湾曲型PSD計測器を使った時分割X線回折実験を行った。先に昇圧し、その後昇温した方が相転移が優位に早く進行し、室温下での昇圧過程で歪みが導入されたか微小な核の存在を示唆する。 石英-コーサイト転移のカイネティクスを単結晶と粉末試料を用いて試料急冷法で行った。単結晶の回収資料は薄片を、偏光顕微鏡観察した。コーサイトは結晶表面でのみ核形成し、内部に向かって成長し、成長速度に異方性はない。また差応力下では粒内部での核生成が観察され、静水圧性が核生成に影響を及ぼすことが認められた。静水圧下でのコーサイトのリムの成長速度は温度依存性を示し、活性化エネルギー約80KJ/molを得た。この値は粉末試料で求められた値(約200KJ/mol)の約半分で、サイズ効果を示唆する。相転移速度がコーサイトの成長律速であることから、活性化エネルギーの違いは成長のメカニズムの違いの可能性がある。また核生成は相転移の極初期に完了しており、核生成過程を観測することは困難であったが、SPring8の強力な放射光を使い、1ステップ15秒という短時間での時分割X線回折実験の結果、初めて相転移の極初期の様子をとらえることに成功した。 放射光を使った高圧粉末X線回折実験の結果にRietveld法を適用して、原子レベルでのCa(OH)_2とMg(OH)_2の圧縮挙動の類似点と相違点を明らかにした。圧縮初期では両者とも八面体層間が著しく圧縮され、層間の酸素-酸素間距離が2.75Aに達するとCa(OH)_2は非晶質化を起こし、Mg(OH)_2は酸素パッキングに支配される圧縮メカニズムに変化する。この挙動の違いはMgとCaの電気陰性度の違いが形成される水素結合の強度に影響している可能性を示唆する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Hattori: "Clinopyroxene-perovskite phase transition of FeGeO_3 under high pressure and room temperature"Physics and Chemistry of Minerals. 26. 212-216 (1999)
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[Publications] A.Yoshiasa: "Pressure and temperature dependence of EXAFS Debye-Waller factors in diamond type-and white-tin type gemanium"Journal of Synchrotron Radiation. 6. 43-49 (1999)
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[Publications] A.Yoshiasa: "Crystal structure of the higt pressure phase(II) in CuGeO_3"Zeitschrift fur anorganische und allgemeine Chemie. 626. 36-41 (2000)
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[Publications] T.Nagai: "Compression mechanism of brucite : An investigation by structural refinement under high pressure"American Mineralogist. (in press). (2000)
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[Publications] T.Nagai: "Compression mechanism and amorphization of portlandite, Ca(OH)_2 : Structural refinement under high pressure"Physics and Chemistry of Minerals. (in press). (2000)
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[Publications] T.Nagai: "Size effects on the quartz-coesite transition mechanism"Science and Technology of High-Pressure Research. (in press). (2000)