1998 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解分光法によるゼオライト吸着系光化学反応ダイナミクスの展開
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10640502
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
橋本 修一 群馬工業高等専門学校, 一般教科(自然科学), 教授 (70208445)
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Keywords | アントラセン / 吸着状態 / 蛍光分光法 / ab initio分子軌道法 / カチオン-π相互作用 / 三重項状態 |
Research Abstract |
無置換芳香族分子の吸着サイトの解明 アントラセンを用いてナトリウムY(NaY)ゼオライトに対する吸着状態に関して蛍光分光法、ab initio分子軌道法等により解明し、主として、ゼオライトの陽イオンサイトとアントラセンとのカチオン-π相互作用により吸着が起こることを明らかにした.カチオン-π相互作用は気相のイオン・分子クラスターやタンパク質などの生体系では良く知られているがゼオライト系でその存在が指摘されたのは初めてである.また、担持量に依存してゼオライトの細孔内でアントラセンのダイマー形成を観測し、このダイマーはナトリウムイオンの存在によって基底状態でも結合力を生じることを明らかにした. 共吸着溶媒の影響 アントラセンの吸着状態は共吸着溶媒の存在下で著しく影響を受けることを明らかにした.すなわち、ゼオライト骨格や交換陽イオンと相互作用の強い水、アルコール、アセトニトリル等の存在下でアントラセンはゼオライトとの相互作用が弱くなるが、ヘキサン等骨格との相互作用の弱い分子の存在下では吸着力が失われない.更にゼオライト細孔体積に匹敵する多量の水等の存在下でアントラセンの結晶化が見られた.これは吸着サイトを奪われ同時に細孔内自由体積の減少によってアントラセンが細孔から押し出され結晶化するものと予想された.この結果は、ゼオライトホスト-芳香族ゲスト分子-共吸着溶媒の3成分系がそれぞれの相互作用の微妙なバランスの上になりたっていることをはじめて示した. ゼオライト細孔ネットワーク系での分子移動 アントラセン三重項状態の減衰挙動の測定とその解析に基づいてアントラセン分子の細孔内での運動および細孔間移動の速度に関する情報を得た.脱水系ではアントラセン分子の移動速度がその三重項寿命に比べて著しく遅いが、細孔体積の1/4程度の吸着水添加により著しく速くなること、および3/4程度の吸着水の存在下で再び著しく遅くなるという特異な挙動を観測した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Hashimoto et al.: "Fluorescence spectroscopic studies of cnthracene adsorbed into zeolites:From the detection of cation-π interaction to the observation of dimers." Langmuir. 14・15. 4284-4291 (1998)
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[Publications] S.Hashimoto et al.: "Do the charge-transfer complexes of 1,2,4,5-tetracyanobenzene with orenes serve as a probe for serveying chemical properties inside the cavities of zeolites?" Langmuir. 15・9. (1999)
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[Publications] S.Hashimoto et al.: "Pho to induced electron transfer from pyrene to methyl vio Logen in polystyrene latex dispersions as studied by diffase reflectance laser flash pho to lysis." Chem.Commun.213-214 (1999)