1998 Fiscal Year Annual Research Report
水酸基やカルボキシル基の保護を必要としない炭素-炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
10640524
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
和田 眞 徳島大学, 総合科学部, 教授 (10016173)
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Keywords | アリルGrignard試薬 / ビスマス / スズ / アリル化反応 / 水中 / 含水溶媒中 / 炭素-炭素結合生成 / グリーン化学 |
Research Abstract |
本研究は水酸基やカルボキシル基の保護を必要としない、基質や溶媒の脱水操作を必要としない真に実践的合成プロセスを開発することを目的として行った。平成10年度においては次の結果が得られた。 1. 1当量のアリルGrignard試薬とBiCl_3、SbCl_3、SnCl_4、InCl_3、およびNiCl_2から得られる水に安定なアリル化試薬を用いる抱水アルデヒド・ケトンのアリル化反応 ホルマリン、クロロアセトアルデヒド、ピルビックアルデヒド、コハク酸セミアルデヒド、グリオキシ酸、フェニルグリオキザールは水溶液あるいは水和物として市販されている。今回アリルGrignard試薬とBiCl_3、SbCl_3、SnCl_4、InCl_3、およびNiCl_2から得られる水に安定なアリル化試薬を用いて上記の抱水アルデヒドやケトンのアリル化反応を検討したところ、容易に反応が進行することを見い出した。このことはこれらの抱水アルデヒドやケトンから水を除去する必要がなく、工業的にも重要である。 2. 1当量のアリルGrignard試薬とBiCl_3、SbCl_3、SnCl_4、InCl_3、およびNiCl_2から得られる水に安定なアリル化試薬を用いる水酸基やカルボキシル基を有するカルボニル化合物のアリル化反応 無保護の水酸基やカルボキシル基を有するカルボニル化合物のアリル化反応について検討したところ、容易に反応が進行することを見い出した。水酸基やカルボキシル基を保護することなく有機金属試薬を用いて炭素-炭素結合生成反応を達成することは、有機合成の簡便さと言う点から重要である。 昨今の環境問題を考えると、含水溶媒中や水中で進行する有機合成反応は今後益々重要であり、環境調和適応型有機合成反応すなわちグリーン化学を目指して研究を継続したいと考えている。
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Research Products
(1 results)