1998 Fiscal Year Annual Research Report
シャジク藻節間細胞の濃厚K^+塩溶液中でのイオン調節能喪失の細胞生理学的研究
Project/Area Number |
10640632
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清沢 桂太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (40029509)
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Keywords | E-Cカップリング / 原形質流動 / ホシツリモ / K^+-麻酔法 / 膜電位 / 膜抵抗 / Pb^<2+> / シャジクモ |
Research Abstract |
本年度は、本研究の前半部分である、K^+-麻酔法の有効性、及び限界に関して細胞生理学的基礎知見を得るため、種々の濃度のKCl,KNO_3,K^+-グルコン酸溶液中での車軸藻(ホシツリモ)の原形質流動の流速を測定した。すなわち、対イオンである陰イオンが何であれ、外液K^+濃度を上げていくと、膜電位は脱分極し、50mM以上ではゼロになることが知られている。一方、原形質流動の流速を測定すると、流速はK^+濃度の上昇と共に低下することがわかった。原形質流動の流速は、細胞質内のCa^<2+>濃度で制御されていることが、分かっている。ホシツリモは外部刺激により、興奮して活動電位を発生すると、その流動が停止する。これは、外液からCa^<2+>イオンが流入し、細胞質内のCa^<2+>濃度が上昇するためであることがほぼ確実に明らかにされている。外液にPb^<2+>イオンを共存させると、活軌電位を発生しても流動は停止しない。これは、外液中のPb^<2+>イオンが外液中のCa^<2+>イオンが細胞内へ流入するのを阻害するためと考えられている。そこで、外液K^+濃度を上げていくときにPb^<2+>イオンが存在する場合と、存在しない場合で測定したところ、共に同じような値で流速は低下した。したがって、外液K^+濃度の上昇に伴う原形質流動の流速の低下は、主に膜電位の脱分極によると推測された。したがって、K^+-麻酔法は原形質流動の測定と一緒に用いることは無効であることが、分かった。しかし、何故膜電位が脱分極すると流動速度は低下するのかという新しい問題が、明らかにされた。このように、K^+-麻酔法には限界があるが、この方法は非常に安価で、簡便に膜電位測定に使える可能性があるので、その限界をもっと明らかにした上で、ポジテブな観点からこれからも検討を加えたい。
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