1998 Fiscal Year Annual Research Report
蛇毒遺伝子の加速進化 I型PLA2遺伝子による検証
Project/Area Number |
10640685
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田宮 徹 上智大学, 理工学部, 助教授 (30119135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神澤 信行 上智大学, 理工学部, 助手 (40286761)
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Keywords | エラブウミエビ / PLA2 / RT-PCR / 遺伝子 / cDNA / 進化 / 加速進化 / 発現 |
Research Abstract |
本研究ではまずエラブウミヘビ膵臓由来IB型PLA_2 cDNAの単離を目的とした。エラブウミヘビ膵臓由来mRNAを鋳型としRT-PCRを行った。この際既に報告されているエラブウミヘビ毒腺由来PLA_2 cDNAのprimerを用いた。その結果膵臓由来mRNAからIA型IB型両方のPLA_2 cDNAの部分配列が増幅された。また哺乳類でPLA_2遺伝子の発現が報告されている肺についても同様の実験を行ったところ、肺からはIA型PLA_2の部分配列が増幅され、IB型の増幅も示唆された。膵臓由来IB型PLA_2の部分的な塩基配列を決定したところ、第二エクソン相当領域は毒腺由来PLA_2に高い相同性を示し、第三エクソン相当領域は哺乳類膵臓由来PLA_2に高い相同性を示した。 爬虫類の毒腺以外の組織におけるPLA_2遺伝子の発現に関する報告例はこれまでになく、IB型PLA_2単離の報告もない。また膵臓でのIA、IB両型の同時発現の報告においては爬虫類に限らずいまだ報告はない。IA型、IB型PLA_2が同一組織に発現しているという結果は本研究の目的である加速進化のIB型PLA_2からの検証のみならず、PLA_2遺伝子の進化機構の全容や、組織特異的な発現調節機構を考察する上でも非常に有用かつ貴重な結果であると考えられる。 このようにして得られたcDNA部分配列をプローブとして、現在cDNAライブラリー及びゲノムライブラリーからIB型PLA_2遺伝子の単離を試みている。
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