1999 Fiscal Year Annual Research Report
蛇毒遺伝子の加速進化-I型PLA2遺伝子による検証-
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10640685
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田宮 徹 上智大学, 理工学部, 助教授 (30119135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤見 峰彦 上智大学, 理工学部, 助手
神澤 信行 上智大学, 理工学部, 助手 (40286761)
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Keywords | 蛇毒PLA2 / 蛇毒遺伝子 / Laticauda / 分子進化 |
Research Abstract |
ヘビ毒および哺乳類の膵液に含まれるいわゆる外分泌性ホスホリパーゼA2(PLA2)は、その一次構造が明らかになったものが多くある。両酵素間には一次構造におけるホモロジーがあるほか、X線結晶構造解析により明らかになった立体構造においても類似性がある。外分泌性PLA2は7個のジスルフィド結合の位置の違いにより2群(I型、II型)に分類される。I型PLA2はコブラ科、ウミヘビ科に属するヘビの毒や膵液に含まれるもので、Cys11とCys77間のジスルフィド結合が存在するのがその特徴である。さらにI型は、哺乳類膵臓由来のPLA2に存在する"pancreatic loop"の有る(IB)、無い(IA)により2つのサブグループに分類される。II型はマムシ科、クサリヘビ科に属するヘビの毒や炎症部由来の非膵臓型PLA2がこれに含まれる。一般に、ヘビ毒中のPLA2は神経・筋接合部の神経側に作用してアセチルコリンの放出を阻害することで毒性を発現する。コブラ科のヘビ毒中に存在するI型PLA2は、PLA2活性の強いもの、弱いもの、毒性の全くないもの、強いものまでいろいろで、なかにはtipoxin γやOphiophagus hannahの毒由来PLA2のように、"pancreatic loop"を持つものも知られている。沖縄産エラブウミヘビの毒液中にはI型PLA2が存在することが既に明らかになっている。 本研究では、エラブウミヘビ毒腺並びに膵臓で発現しているIA及びIB型PLA2遺伝子(cDNA,genome DNA)の構造を明らかにした。 膵臓由来I型(IB)PLA2と毒腺由来I型(IA)PLA2の遺伝子を比較したところ、イントロンは互いに良く保存されていたが、膵臓由来I型に存在する"pancreatic loop"および第4エクソンの後半部分が毒腺由来I型では欠損していた。毒腺が唾液腺から変化した器官であることを考慮すると、毒腺由来I型PLA2は膵臓由来I型のprotorypeを祖先遺伝子として進化してきたと考えられる
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Tamiya et al.: "Complete nucleotide sequences of cDNAs encoding long chain alpha-neurotoxins from sea krait,Laticauda semifasciata"Toxicon. 37. 181-185 (1999)
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[Publications] M,Ohno et al.: "Molecular evolution of snake toxins:Is the functional diversity of snake toxins associated with a mechanism of accelerated evolution?"Prog,Nucleic Acid Res.Mol.Biol.. 59. 307-364 (1998)