2000 Fiscal Year Annual Research Report
結合量子構造を用いたコヒーレント電子振動デバイスの解析
Project/Area Number |
10650058
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Research Institution | AOMORI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
塚田 紀昭 青森大学, 工学部, 教授 (20275514)
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Keywords | 量子効果デバイス / 結合量子構造 / コヒーレント・トンネル振動 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 / レーザラマン結合 / 原子間相互作用 / グロス・ピタエフスキー方程式 / 原子レーザ |
Research Abstract |
本研究の目的は、BECを利用することによりはじめて可能となると思われる将来の量子効果素子の可能性を検討することである。中性原子のジョセフソン効果素子、原子レーザ、量子計算などへの応用を考え、複数の光磁気トラップ中に捕獲されたBEC間の結合(トンネル結合およびレーザラマン結合)の問題をグロス・ピタエフスキー方程式から得られる結合方程式の数値計算により解析している。本年度は下記の結果を得た。 (1)研究対象として2つのトラップに捕獲されたレーザ冷却Bose-Einstein凝縮(BEC)原子あるいは一つのトラップ中の2種類のBECを励起準位を介してレーザラマン結合する場合を取り上げ、ストークスパルスとポンプパルスが時間的にずれて照射される場合について解析した。原子間相互作用の効果は原子の完全移送に必要な光パルス強度領域が大幅に緩和されることがわかった。但し、原子間相互作用の値が正か負かによってレーザ波長の離調の符号も変える必要がある。 (2)トンネル結合する2重トラップ間の原子のトンネル振動に及ぼす原子間相互作用の影響を2つのトラップの初期ポピュレーションを変化させて計算した結果、初期条件として2つのトラップのポピュレーションの差が小さくなればなるほどトンネル振動周波数が増加することが分かった。この振動周波数の増加は原子間相互作用による非線形によるものであり、状態ベクトルをブロッホ球上で描くことにより直感的に理解できた。
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