1998 Fiscal Year Annual Research Report
ジャーナル滑り軸受に対する一般的スターブ潤滑理論の確立とその実験的検証
Project/Area Number |
10650150
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
林 洋次 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10063760)
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Keywords | スターブ潤滑 / 流体潤滑理論 / トライボロジー / ジャーナル軸受 / 滑り軸受 |
Research Abstract |
本年度は、非真円ジャーナル滑り軸受のスターブ潤滑の基本理論を確立し実験的に検証するために、非真円ジャーナル軸受のひとつであるだ円軸受を主として取り上げた。理論的研究においては、だ円ジャーナル滑り軸受では、その軸受すきまが複数のくさび領域と複数の逆くさび領域から構成され、油膜破断が発生し消滅し再び発生すなわち複数の油膜形成領域と複数の油膜破断領域が形成されることから、まず、複数の油膜形成境界および油膜消滅境界ならびに複数の油膜破断開始境界および油膜破断終了境界に対して、互いに連立するスターブ潤滑境界条件を新たに提案した。これらの境界形状として複雑な曲線形状を想定すべきであるが、本研究では、いくつかの直線で近似することによって、スターブ潤滑境界条件を簡略化し、かつ油膜形成領域内の偏微分方程式のレイノルズ方程式を差分法を用いて解析する手法を提示した。これらの境界条件式ならびにレイノルズ方程式を連立させ自由境界値問題としてコンピュータで数値解析し、油膜破断領域がすべて消滅する場合や複数の油膜破断領域が1つ破断領域に結合される場合なども考慮して、油膜形成形状および油膜破断形状、圧力分布、負荷能力などの軸受靜特性を算出した。なお、本解析はフラッド潤滑下の特性解析ならびに真円ジャーナル軸受解析にも適用できることも明らかにした。実験的研究においては、現有のジャーナル軸受試験機を改良し、ひずみゲージを用いた圧力センサを軸受に挿入できる方式を採用し、油膜破断を実験的に解明するために透明なアクリル樹脂製の真円ジャーナル軸受とだ円軸受を製作した。まず、真円軸受に対して、供給油量を変化させることによってフラッド潤滑下とスターブ潤滑下で、ひずみ測定器によって軸受すきま内の油膜形成領域および油膜破断領域の圧力分布を測定し、かつ油膜形成領域と油膜破断領域を観察測定し、前述の理論解析結果と比較検討した。
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