Research Abstract |
[目的]以前の実験から,Ti/Al原料粉末にNi/Al助剤を添加すれば,TiAlの燃焼合成の熱収支および液相量が制御でき,高密度合成体が得られることがわかった.熱力学データによれば,Ni/Alの他,Co/Al混合粉末も助剤として期待される.本研究ではNi/Alに代え,Co/Al助剤によるTiAlの燃焼合成を試み,その合成条件および合成体の特性を検討することを目的とした. [方法]原料粉末として平均粒径18,24,42μmのTi粉末,平均粒径5μmのAl粉末,および平均2μmのCo粉末を使用した.これらの粉末を混合し,Ti/Al混合粉末(Ti:Al=1:1)にCo/Al助剤(Co:Al=1:1)を添加した混合粉末を調合した.この混合粉末からなる圧粉体を真空中で燃焼合成させ,合成体を得た.合成体について密度測定,X線分析,組織観察を行い,また,ビッカース硬度,圧縮強度を測定した. [結果](1)Co/Al添加TiAlの燃焼合成:Co/Al助剤の効果を調べるため,Ti/Al混合粉末に種々の割合でCo/Alを添加し,燃焼合成を試みた.その結果,合成体の収縮が認められ,緻密化の可能性がわかった.(2)Co/Al添加TiAlの組織:合成体はおおむね緻密であり,約20μmの結晶粒から構成されている.SEM-EDX,X線分析から相同定したところ,化合物はTiAl,Ti_3Al,Ti-Co-Al融液凝固相からなることがわかった.(3)Co/Al添加TiAlの特性:ビッカース硬度は,Hv=約330であり,Ni/Al添加TiAlのHv=約370よりも,幾分低い値を示した.また,圧縮試験では圧壊応力は,約1400MPa,圧壊ひずみは約0.28であり,Ni/Al添加よりも,やや延性に優れることがわかった.しかし,圧縮試験後の合成体は,脆性的に破壊し,構造材としては使いにくい.今後特性改善されるよう,プロセスおよび条件の検討が必要である.
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