1998 Fiscal Year Annual Research Report
オンライン測定された電力系統の動揺周波数による安定度評価手法の開発
Project/Area Number |
10650284
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮内 肇 熊本大学, 工学部, 助教授 (20181977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜山 隆 熊本大学, 工学部, 教授 (90040419)
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Keywords | 安定度評価 / 超伝導エネルギー貯蔵装置 / 固有周波数 / 系統定数測定 / オンライン安定度監視 / パワースペクトル解析 |
Research Abstract |
超伝導エネルギー貯蔵装置(SMES)から電力系統に電力変動を強制的に与えて、その応答をパワースペクトル解析することにより、系統の固有周波数を測定する手法が提案されている。本研究では、その手法により測定された固有周波数を基にした系統のオンライン安定度評価手法の確立を目的としている。 系統の不安定性と固有周波数の関係を見るために、くし形3機系統と10機39母線系統を例題に、摂動法による固有値計算で、発電機出力を上昇させることで系統の運転状態を不安定方向へ移動させた場合の固有値の動きについて検討した。その結果、系統の動揺を支配する、最も固有周波数の低い固有値(これらの例題系統では全系が揺れる広域モードである)の虚部が、発電機出力の上昇とともにさらに小さくなる傾向にある。 これより、以下に示すオンライン安定度監視システムを考案した。系統の最も固有周波数の低いモードを監視対象としてこの固有周波数を数分おきに測定する。この固有周波数が小さくなる時、系統はより不安定な運転状態に近付きつつあると判断し、常時オンラインで固有周波数の測定を継続する。そして、この固有周波数が大きくなれば安定サイドに移行したと判断し元の数分おきの監視体制に復帰するが、逆に小さくなれば何らかの安定度向上対策を実施し固有周波数の動向を監視し続ける。現在、このシステムの妥当性を検証している。さらに、現有の一機無限大母線模擬電力系統と50kJSMESを用いて電力系統の固有周波数測定実験を実施した。実験結果より、すでに数値計算により提案しているSMESからの電力変動を正弦波1周期に限る手法でも、系統の固有周波数が十分に測定できることが分かった。今後さらに実験を重ね、SMESからの電力変動の振幅や周期の設定法、データ収録法などについて検討し、上述の安定度監視システムに立てる予定である。
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