1998 Fiscal Year Annual Research Report
水道原水中の低濃度有機物の除去を目的とした下向流生物膜ろ過リアクターの開発
Project/Area Number |
10650548
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
荒木 信夫 長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (30193072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 晶良 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70169035)
田中 一浩 長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助手 (40259841)
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Keywords | 上水原水処理 / 微量汚濁有機物 / 生物膜 / 低栄養細菌 / 変異原性 / ゼラチン層 |
Research Abstract |
水道原水中の低濃度有機物を効率的な除去を目的とし、下向流生物膜ろ過リアクターを開発した。微量有機物の分解を担う低栄養細菌を効率よく保持するために生物膜基材にウレタンスポンジキューブ(1.5cmの正六面体)を用い、これを2.0mの数珠状に連結して懸垂したものに上部から模擬原水を下向流で通水した。リアクターの上部から底部に流れる間にスポンジ空隙内に保持された低栄養素微生物の生物膜と微生物代謝物からなるゼラチン質を重力によって透過することにより、吸着・生分解を受け処理される。 本年度は腐葉土の抽出水とコーンスティープリカーが1:1の割合であるTOC濃度4mg/Lの模擬原水を水理学的滞留時間(HRT)3、6、12時間の3条件で通水した。通水前後およびリアクター軸方向のTOC濃度、260nm吸光度(A_<260>)を測定した。運転開始後2ケ月後からA_<260>、TOCの減少が始まり、次第に除去量は増大する傾向にあった。HBTが短いほど良好な成績を示し、HRT_3時間系の運転120日目ではTOC除去率68%、A_<260>除去率26%であった。有機性成分の中で色度成分の除去率が小さかった。リアクター軸方向のTOCプロファイルはリアクター上部で減少が進行するものの、その中部、底部においてはTOCの低下は認められなかった。 運転120日後にリアクター上部、中部、底部のスポンジチューブから汚泥を絞り出し、スポンジ単位容積辺りの細胞数をDAPI染色による直接菌数計測を用いて評価した。その結果、上部では10^8cells/mLレベルの細胞が確認されたが、中部、底部では10^5cells/mLレベルであった。また、模擬原水および処理水の塩素処理後の変異原性エームス試験方法、スポンジ内の非生物物質蓄積量を評価する方法を確立した。
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