1998 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地におけるコンクリートの起泡作用及び耐凍結融解抵抗性の改善に関する化学的検討
Project/Area Number |
10650572
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
杉山 雅 北海学園大学, 工学部, 教授 (50295888)
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Research Abstract |
1. 目的 北国では、冬期の低温環境はコンクリートの耐久性に大きなダメージを及ぼしている。本研究は、耐凍害性を改善する手法であるコンクリート中に微細な空気泡を連行する技術として、従来の性能が不安定な界面活性剤を利用するものではなく、物理化学的な作用により低温環境下でも安定して気泡を形成できる技術を検討しようとするものである。着目した化合物は、水の存在下で化学反応して水素ガスを発生する水素化ホウ素化合物である。本年度は、1)起泡力試験と、2)凍結融解耐久性試験を行った。 2. 実験結果 1)起泡力試験 5℃および20℃の環境下において、コンクリートの起泡力(膨張量)を、比較にアルミニウム粉末を用いて、添加量を変えて測定した。方法は、10φ×20cm型枠に試料を入れ上面に軽いプラスチック板を設置し、この上面の膨張変位を歪み計により測定した。その結果、同じ膨張をするための添加量を5℃および20℃で比較したところ、水素化ホウ素化合物は従来のアルミニウム粉末に比べ、著しく温度依存性が少ない事が明らかになった。 2) 凍結融解耐久性試験 水素化ホウ素化合物を添加したコンクリートに形成された気泡が良質なものであるかどうかを、最も敏感に結果が出る凍結融解耐久性試験(ASTM C666急速水中凍結水中融解法)を行って判定した。測定項目は、非破壊試験の動弾性係数試験と質量変化試験である。その結果、水素化ホウ素化合物を添加した供試体は200サイクルでも十分を耐凍害性を示した。一方、アルミニウム粉末を添加した供試体は、著しく劣化した。 3. まとめ 以上の結果から、水素化ホウ素化合物の起泡作用によりコンクリート中に形成された気泡は、十分に耐凍害性を改善する効果があり、本化合物は良質のAE(Air Entraining)効果をもたらす効果がある事が明らかになった。
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Research Products
(2 results)