1998 Fiscal Year Annual Research Report
東海・北陸地方の近世層塔遺構における建築設計手法の研究
Project/Area Number |
10650631
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
河田 克博 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10252313)
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Keywords | 近世層塔遺構 / 建築設計手法 / 東海・北陸地方 |
Research Abstract |
本研究は、設計理論が比較的確立され、それが実際面で適応されやすいと思われる層塔の建築設計手法を、近世の大工技術書、いわゆる木割書の内容と、残存する遺構との関連性を検証することを目的としている。今回は、比較的類似する木割書が流布している北陸地方の遺構と地域的に連続する東海地方の遺構を実測調査し、設計寸法のデータを収集する。 2年度にわたる研究実施計画のうち、当年度においては、妙宣寺五重塔(文政8年-1825-、国指定文化財、新潟県佐渡郡真野町)・五智国分寺三重塔(江戸時代後期、県指定文化財、新潟県上越市)妙成寺五重塔(元和4年-1618-、国指定文化財、石川県羽咋市)・若一王子神社三重塔(宝永8年-1711-、県指定文化財、長野県大町市)を調査した。実測の具体的手法は、各層の部材の寸法・鉛直方向における位置・水平距離や、地垂木・飛檐垂木勾配、茅負下外角の位置(軒出)、相輪の高さなど、従来足場を設置しなければ計測不可能な寸法は、高精度・精密測距儀トータルステーションにより、主として〈壁面座標計測〉測量プログラムを適用して実測した。また、初層の壁面および組物、建物内部に入れ、各層に改め口がある部分については、コンベックスによる直測定を行った。 これらの調査の結果、遺構の木割値等が予想した木割書の内容と一致または近似することが認められる反面、再検討すべき設計値も多々認められたが、その分析結果については、次年度に予定している新たな8基の調査内容を加えて、総合報告する予定である。
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