1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体親和性と柔軟性を兼ねそなえた無機/有機複合材料の開発
Project/Area Number |
10650681
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
本津 茂樹 近畿大学, 生物理工学部, 助教授 (40157102)
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Keywords | バイオセラミックス / ハイドロキシアパタイト / インプラント / レーザーアブレーション / 無機 / 有機複合材料 |
Research Abstract |
生体親和性と柔軟性を兼ね備えた無機/有機複合生体材料を開発するために、ArFエキシマレーザーアブレーション法により、ハイドロキシアパタイト(HAp)薄膜をテフロン基板上に作製することを試みた。まず、結晶化HAp薄膜の成膜条件を確立するために、Ti-6Al-4V基板上にHAp薄膜の作製を行った。得られたHAp薄膜の最適成膜条件は、O_2+H_2Oガス圧100mTorr、基板温度530℃、成膜速度約30nm/minであった。この条件でテフロン基板上にHAp膜を成膜する場合、問題となるのは基板温度で、テフロンの融点(約327℃)以上に上げられないことである。そこで基板温度310℃として、成膜後O_2+H_2Oガス中で310℃-10時間のポストアニールを行うことにより、テフロン基板上に結晶化HAp薄膜を得ることに成功した。しかし、テフロン表面は化学的に安定であるため、HAp膜の固着強度を引っ張り試験法により評価したところ、0.5MPaと実用に耐えるものでなかった。次に低固着力の問題を解決するために、テフロン表面のエキシマレーザーによる光学的表面改質と化学溶剤を用いた化学的表面改質を行った。レーザーで表面改質したテフロン基板に、上記条件でHAp薄膜を作製したところ、結晶化HAp膜が得られ、その固着力は1MPaで十分な値ではなかった。一方、ナトリウムナフタレン錯体のグルコール系溶剤(テトラエッチ)を用い、テフロン基板の表面を化学的改質した基板上のHAp膜の固着力は6MPaまで増加し、実用に耐える値となった。現在、テフロン基板上のHAp膜の生体親和性を調べるために、ウサギの繊維芽細胞を用いた、in-vitroの研究を行っている。
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[Publications] Shigeki Hontsu: "Formation of Hydroxyapatite Thin Films on Surface Modified Polytetrafluoroethylene Substrates" Japanese Journal of Applied Physics. Vol.37 No.10A. L1169-L1171 (1998)
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[Publications] 田畑 仁: "エキシマレーザーアブレーションによる生体材料の加工および薄膜形成" 生体材料. Vol.16 No.6. 343-349 (1998)