1998 Fiscal Year Annual Research Report
人工ウイルスを用いた動物細胞への効率的な遺伝子導入法の開発
Project/Area Number |
10650783
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上平 正道 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40202022)
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Keywords | 人工ウイルス / 遺伝子キャリヤー / ターゲティング / 遺伝子導入 / 動物細胞 / リピッドベシクル / レセプター / リガンド |
Research Abstract |
本年度は、申請者が開発した遺伝子導入用のリピッドベシクルの遺伝子導入効隼の向上のために、ウイルスの遺伝子導入メカニズムの中で重要と考えられる、導入するDNAの保護のためのDNA側の処理と、細胞指向性付与のためのリピッドベシクルへのリガンドの導入を検討した。まず、導入したDNAの細胞内での分解を抑制し、核5への移行を促進する機能を付与するために、安全性が確認されており、DNAと複合体を形成することが知られているプロタミンを遺伝子導入の際に加えることを検討した。5種類の細胞株および3種類のプラスミドを使って、DNAとプロタミンの複合体を形成させたあとリピッドベシクルを混ぜて細胞に遺伝子導入したところ、用いた全ての細胞株およびプラスミドで、プロタミンの添加による遺伝子導入効率および発現量の向上が認められた。適当量のプロタミンの添加によって、最大20倍以上の導入効率および発現量の増大が達成できた。つぎに、遺伝子キャリヤーとして用いているリピッドベシクルに組織や細胞への指向性を増すために、細胞表面レセプターと結合するリガンドのリピッドベシクルへの導入を検討した。非特異的なリガンドとしてインスリンをステアリン酸と結合してリピッドベシクル表面に配位させて遺伝子導入実験を行ったところ、検討した全ての細胞株で3〜4倍の遺伝子導入効率の増大が認められた。特異的なリガンドとしては、肝細胞への指向性をもたせるためにアシアロ糖タンパクレセプターのリガンドとなるラクトースをラクトン化してステアリルアミンと結合させリピッドべシクルに導入したものを作製し、遺伝子導入に用いたところ、肝ガン細胞株であるヘパトーマ細胞でのみ3〜4倍の遺伝子導入効率の増大を達成できた。
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Research Products
(1 results)