1998 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモン共鳴による化学計測の基礎的検討と抗原抗体反応を利用する分析法の研究
Project/Area Number |
10650800
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鎌田 薩男 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20041527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉留 俊史 鹿児島大学, 工学部, 助手 (60253910)
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Keywords | 表面プラズモン共鳴 / 金属薄膜 / ABO血液型簡易測定 / 血痕 / 唾液 / 尿 / 抗原抗体反応 / 塩化ベンゼトニウム |
Research Abstract |
表面プラズモン共鳴(SPR)現象は、ガラス基板の片面に金属薄膜を形成させ、他方のガラス面から単色光を全反射により入射させて発生するエバネッセント波が、試料と接している金属薄膜表面から発生する表面プラズモン波の共鳴励起に使用されて反射光強度が減少する現象である。本研究はこの現象を利用して試料物質の計測法を検討するもので次の事を行っている。まづ、(1)金属薄膜に対する膜厚および表面粗さと測定精度との関係を調べた。金、銀及び銅薄膜で調べ膜厚は50nmが適切であること、また真空蒸着法による自作の金薄膜および他の真空蒸着メーカーに依頼して作製した金薄膜を使用して表面粗さの関係を調べ、測定精度には表面の平滑さが極めて重要であることを明らかにした。次に(2)金属薄膜表面に接している試料物質の分析を検討した。第4級アンモニウム塩の塩化ベンゼトニウムは筋弛緩剤であり、犯罪や自殺等にも使用されるためその簡便な分析法が望まれている。そこで尿中に含まれるベンゼトニウム塩のSPRによる分析を検討した。5〜100ppmの濃度範囲で共鳴角対濃度の間によい直線関係を得、定量を可能にした。尿中に含まれるの他の類似化合物の影響は100ppm程度であった。これは従来の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析と同等の精度で、しかも簡便、迅速に測定できることを明らかにした。(3)感応素子を含むPVC膜を金属薄膜(金及び銀)上に固定化し、亜鉛イオンの測定を試みた。検出感度5x10^<-5>Mを示し、イオン選択性電極の精度には劣るが選択性に差異があることを示した。(4)金薄膜上に抗体を固定化し、抗原・抗体反応を利用する分析法を検討した。これより人の血痕及び唾掖のABO型の簡便迅速測定を可能にした。これらの結果は目下投稿準備中である。次年度はさらに金属薄膜上の酵素固定化膜を利用する迅速分析、光学異性体の分析も行う予定である.
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