1998 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧酸素合成法による記録的高臨界温度を有する新規高温超伝導体の探索
Project/Area Number |
10650820
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下山 淳一 東京大学, 工学部・附属総合試験所, 講師 (20251366)
|
Keywords | 高温超伝導体 / 臨界温度 / キャリアドープ / 高圧酸素下熱処理 |
Research Abstract |
本研究課題は、従来に無い高い酸素分圧下での合成や後熱処理による新規酸化物高温超伝導体の開発を目的としたもので、特性としては臨界温度の最高記録を目指すものである。また、これは平成10年度、11年度の2年間にわたる課題であるが、主要備品である高圧酸素雰囲気発生装置の安全性を確認するためのテストにより、納入が12月となり、これまで3か月の間は主に装置の立ち上げと性能検査を兼ねた基礎的な研究を行ってきた。所期の目標とした合成環境(酸素分圧500気圧以上)が達成可能であることを確認し、様々な銅系複合酸化物の高酸素圧下熱処理を実施し臨界温度制御の指針を探り始めたところである。例えば酸素欠損が生じやすい組成のランタン系超伝導体において、高圧酸素雰囲気下での熱処理によって、超伝導面の欠陥が減少し臨界温度が2K程度上昇することや、ビスマス系超伝導体において鉛の置換による超伝導面の平坦化が5K以上の臨界温度の向上をもたらすものの高圧酸素処理によっては超伝導相の相分離が起こることなど新しい事実がいくつかわかってきている。現在最高の臨界温度を持つ水銀系超伝導体については、高圧酸素処理が臨界温度の上昇に有効な金属組成の探索を始めたところであるが、今のところ臨界温度の最高記録には至っていない。 次年度は、既存の超伝導体に対して高圧酸素雰囲気下での平衡条件が臨界温度に適したキャリアドープ状態になるように金属元素置換やその比を調節するとともに、高圧酸素雰囲気下での熱処理が相の形成に有利な物質を設計し臨界温度の最高記録(135K以上)を目指す。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 下山淳一: "Pb置換Bi2212の高臨界電流特性" 応用物理. 67(10). 1171-1175 (1998)
-
[Publications] J.Shimoyama 他: "Effects of Heavy Ion Irradiation on Flux Pinning Properties of Bi2212 and Bi(Pb)2212 Single Crystals Having Various γ2" Advances in Superconductivity. 11(印刷中). (1999)