1998 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ台木開発のための地上部・地下部相互関係の解明
Project/Area Number |
10660023
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岩垣 功 静岡大学, 農学部, 教授 (50262796)
|
Keywords | カンキツ / 台木 / ヒリュウ / スイングル / カラタチ / IAA / ABA |
Research Abstract |
カンキツ栽培において,台木は樹勢調節に重要な役割を担っているが,台木による樹勢調節の仕組みはいまだ明らかにされていない.本研究では台木品種として穂木の樹勢が弱い‘ヒリュウ',樹勢が強い‘スイングル'シトロメロ,標準として‘カラタチ'を用いて,台木が穂木の生育と内生IAA及びABA含量に及ぼす影響について調査した.それぞれの台木の黄化実生にレモン‘ユーレカ'の新梢から柔軟な若芽を採取して割り接ぎする方法を採用した. 生育調査の結果,乾物重は,葉,茎,地上部全体において‘シトロメロ'台で最も重く,‘ヒリュウ'台で最も軽かった.根と植物体全体の乾物重には台木3品種間に有意な差は認められなかった. Top-root ratioは‘シトロメロ'台で最も高く‘ヒリュウ‘台で最も低かった.伸長量は‘シトロメロ'台で最も多く,続いて‘カラタチ',そして‘ヒリュウ'台がもっとも劣っていた.3種の台木間では地上部の生育には差が認められたが,地下部の生育には差が認められなかった.また,台木による穂木の生育差は接木後に比較的早く現れ,接木後18ヶ月にははっきり認められた. 接木から24ケ月後に穂木の新梢の先端から30mmを採取し,IAAとABA含量を測定した.IAA含量は,‘シトロメロ'台で高く‘ヒリュウ'台で最も低かった.ABA含量には台木による差は認められなかった.地上部の生育のよい台木ほどIAA含量が高いことから,IAA及びIAAとABAの比率が穂木の生育に影響を及ぼしていることが考えられた.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 野田勝二: "Growth of Citrus Scion-rootstock Combination in Relation to Phytohormone" Supplement to J.Japan.Soc.Hort,Sci. 67-1. 42 (1998)
-
[Publications] 野田勝二: "カンキツ接ぎ木組み合わせと新梢のIAA及びABA含量" 植物の化学調節. 33・2. 273 (1998)