1998 Fiscal Year Annual Research Report
エチレンにより誘導されるダッチアイリスりん茎の花熟に伴う遺伝子発現
Project/Area Number |
10660033
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
土井 元章 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (40164090)
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Keywords | ダッチアイリス / 幼若期 / 花熟 / エチレン / 遺伝子発現 / RT-PCT / アミノ酸配列 |
Research Abstract |
ダッチアイリス‘ブルーマジック'のりん茎は,夏の高温を経過することによって幼若期から花熟状態に移行して,花芽分化のための低温に感応するようになる.しかし,高温経過前の掘り上げ直後のりん茎であっても,50〜100ppmのエチレンに数時間曝露するだけで,即時的に花熟状態となり,低温感応が可能となる.また,高温を経過しても花熟状態が成立しない小球(球重8〜9g)においてもエチレン処理により花熟状態への移行が起こる. この特性を利用して,幼若期あるいは花熟状態にあるりん茎茎頂部に特異的に発現あるいは消失している遺伝子をRT-PCR法を利用したディファレンシャルディスプレイ法により解析した.その結果,cDNAの合成に11(T)CGを,その後のPCR反応にOP-26-01をプライマーとした場合に,幼若期の茎頂に特異的に発現している遺伝子の断片(300〜400bp)を増幅することに成功し,この遺伝子の発現は3年間を通じて高い再現性を示した.そこで,この遺伝子の341bpにわたる塩基配列を決定し,CG-01と命名した.塩基配列から,この遺伝子断片には比較的長いオープンリーデングフレームが存在し,タンパク質のアミノ酸配列をコードしている部分であることが予想されたが,既知の遺伝子との相同性は低かった.また,さらに詳しくCG-01の発現様相を検討した結果,CG-01は高温を経過する前のりん茎には発現しているが,高温を経過すると開花能力のない小球でも発現しなくなることが明らかになった.現在,CG-01の3'および5'の末端側の塩基配列を解析中である.
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