1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660066
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
高田 直子 麻布大学, 環境保健学部, 助教授 (40120951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 伸 埼玉県農業試験所, 環境生物部, 部長
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Keywords | 緩効性 / リン肥料 / アルギン酸ナトリウム / シクロデキストリン / 第二リン酸カルシウム |
Research Abstract |
緩効性リン肥料(ゲルビーズ)を試作し、異なる温度条件(季節)および、異なる水分条件の土壌で、以下の栽培試験を行い、リン酸の溶出について検討した。 試験方法 シクロデキストリン(α-CD)およびCaHP04の40mM/L懸濁液50ml中に、アルギン酸Naを4%に溶解し、この液を、2%CaCl2溶液50ml中に滴下してαゲルを、あるいはαーCDを添加しないゲル(Pゲル)を作成した。栽培試験では、1/10000aポットに黒土を入れ、土壌表面より3cm下に前途の50ml容量の各ゲルを埋設したPゲル区、αゲル区を、また、ゲル肥料なしの対照区を設定した。初夏期には最大圃場容水量の60%および40%、秋期には60%および35%の試験区を設定し、コマツナの種子を播種し、1ポットに三本、三反復で栽培試験を行った。初夏期40日、秋期45日栽培し、10日毎に乾燥重量等を測定した。また植物やゲル中のリン量を、湿式灰化後ICP-MSで測定し、リン利用率を求めた。 結果および考察[初夏期栽培試験]栽培期間中の平均気温は26℃で、いずれの区も20日以後生育が良くなった。60%区での収穫量は40%区より高く、また60%、α区の40日目の収穫量はP区を上回り、最も高い利用率(地上部で40%)を示した。一方、40%区での収穫量や利用率は、P区の方がα区より高くなった。また、ゲル中の残存リン量も、これらの利用率と平衡した結果となった。[秋期栽培試験]60%区45日目の収穫量は35%区の10倍以上であったが、初夏期と比較すると2分の1であった。栽培期間の後期に最低気温が5℃以下となったため、最高のリン利用率を示した60%α区でも8%(地上部について)であった。以上、肥料ゲルからのリン酸の溶出には,温度と水分の両条件が関与し、60%区では肥料ゲルからリン酸が十分に溶出され、しかも温度の高い時期には、α-CDがリン酸の溶出および利用率を高めることが分かった。これら栽培試験の結果は、室内の温度別溶出試験と相関性があった。実際の施用面では、本試験の基礎的な知見を踏まえ、栽培条件に合わせて肥料ゲルを選定する必要がある。
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