1998 Fiscal Year Annual Research Report
境界線を組み込んだ人工生体膜におけるペプチド、タンパク質の構造変化と活性制御
Project/Area Number |
10660122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 康生 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (50181756)
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Keywords | 境界脂質 / 生体膜 / ペプチド / タンパク質 / 構造変化 / 活性制御 |
Research Abstract |
スフィンゴミエリン(SpM)は、生体膜中において、そのアミド基を介しタンパク質に強く相互作用することによって、境界脂質として働いていると考えられている。本研究ではSpMが生体膜中におけるペプチドやタンパク質の構造にどのような影響を与え、その活性発現を制御しているのか明らかにすることを目的として実験を行う。本年度はレシチン(PC)とSpMよりリポソームを調製し、その物理化学的特性を検討すると共に、そのようにして調製した人工生体膜にモデルペプチドを取り込ませて、その構造変化より、ペプチドとSpMの相互作用の様式を明らかにするという計画を立てた。まず、実験に必要な量のSpMを卵黄あるいはウシ脳抽出物より精製することを試みた。そのために、島津液体クラマトグラフLC-VPを購入した。このクロマトグラフはSpM等の脂質成分ばかりではなく、ペプチドの純度を上げたり、タンパク質を精製する際にも十分に活用できる、汎用性の高いものである。報告されている方法では満足すべき純度のものが得られなかったため、何度が改良を試み最適条件を得た。精製したSpMを比率を変えてPCに加えてゆき、リポソームの調製を試みた。脂質の濃度や調製温度、さらには、リポソームの作成法、すなわち超音波法、エクストルージョン法、透析平衡法などの諸条件を検討して、再現性よく同じサイズのリポソームを得ることが出来るようになった。ここま宅にかなりの時間を要したため、調製したリポソームの物理化学的特性、すなわちそのDSCによる相転移挙動、蛍光標識物質のリポソーム膜中での偏光解消度、さらには単分子膜の界面圧変化等については、そのテクニックを習得し終わり、予備的な測定を行っている段階である。しかし、PC膜単独とは異なった相転移挙動など、興味深い結果が得られており、来年度以降、さらに物理化学的解析を進めると共に、モデルペプチドとの相互作用の解明を開始する予定である。
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