1998 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体を用いたササにおける炭素・窒素の転流に関する研究
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10660134
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清和 研二 東北大学, 農学部, 教授 (40261474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西脇 亜也 東北大学, 農学部, 助手 (60228244)
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Keywords | ササ / 光量 / 窒素 / ギャンプ / クローナル植物 / 生理的統合 / 転流 / 地下茎 |
Research Abstract |
森林の林床はギャップなどの形成によって光量などの資源の分布が空間的にヘテロであることが知られている。ササは一個体がこのようなヘテロな資源環境に股がって生育し、ギャップ内などの個体内の光量の豊富な所から暗い林冠下にある地上稈へ地下茎を通じて同化産物などを転流することによって個体を維持していると予測される。この仮説を以下の野外調査および野外実験を行い検証した。 野外実験:開放地に成立するササ群落で被陰と地下茎切断を組み合わせた操作実験を行い、被陰による影響が地下茎の繋がりによってどう緩和されるかを調べた。開放地に広がったチマキザサ個体群の中に1m方形枠を40個設け、被陰処理(有・無)と地下茎切断処理(有・無)の計2処理(10反復)を行った。処理は1997年6月に開始し、1998年8月に終了した。この間3回の収穫を行い、枠内に現存する地上部・地下部の全てのササ植物体を回収し、乾燥重量を測定した。結果:個体重(地上部および地下部重も)は被陰しても地下茎を切断しなかったことで被陰・非切断区の現存量の低下が少なく、ANOVAでは2つの処理間に交互作用が認められた。これは被陰下でも地下茎による生理的統合によって被陰の影響が回避されたことを示唆する。 グリーンハウス操作実験:地下茎で連結された同一ジェネットの二つの地上稈(ラメット)のそれぞれに^<14>Nと^<13>Nを与え、土壌窒素に勾配がある場合とない場合(実験1)、光量に勾配がある場合とない場合(実験-2)を設定した。資源勾配の有無と^<15>Nの転流との関係を調べた。結果: 土壌窒素量の多い方から少ない方の葉へ、また光量の少ない方から光量の多い方の葉へ、それぞれ窒素が転流されていた。 これらは、森林においてササが暗い林内で獲得した窒素を明るいギャップの葉へ転流し、ギャップ内でより多く生産した同化産物を林内へ転流していることを示唆している。
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Research Products
(1 results)