1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660258
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大谷 元 信州大学, 農学部, 教授 (30109201)
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Keywords | カゼイン / カゼインホスホペプチド / 免疫賦活 / IgA / 経口投与 / 豚 / 機能性飼料 / 牛乳 |
Research Abstract |
「カゼインホスホペプチドの免疫賦活機能の解明」と題した申請課題のもとに、平成11年度行った研究の成果は以下のように要約される。 (1)牛乳カゼインホスホペプチドを離乳直後の仔豚の飼料に添加して5週間与え、その間、1週間間隔で3回、β-ラクトグロブリンを筋肉内注射すると、β-ラクトグロブリンに対する腸管IgA量や総IgA量が、カゼインホスホペプチド無添加の飼料を与えている場合よりも有意に増加することを明らかにした。本成果は、カゼインホスホペプチドが抗生物質に替わる家畜の発育促進物質として利用できることを示唆している。なお、本成果を学術論文としてまとめ、Milchwissenschaft誌に投稿し、現在、審査中である。 (2)わが国で現在、市販飲用乳として販売されているLTLT乳、HTST乳、UHT乳およびLL乳からも、生乳の場合と同様にカゼインホスホペプチドが生成することを示すとともに、それら市販牛乳から調製したカゼインホスホペプチドにもリンパ球の増殖促進活性があることを明らかにした。本成果は、牛乳の飲用は、従来から言われているカルシウムの吸収促進だけではなく、腸管IgA増強においても有効であり、老化にともなう免疫系の賦活や花粉アレルギーなどの予防にも寄与する可能性を示唆している。なお、本成果を学術論文としてまとめ、ミルクサイエンス誌に投稿し、現在、審査中である。 (3)山羊乳、馬乳および人乳をトリプシン消化し、生成したカゼインホスホペプチドを分離し、それらにリンパ球増殖促進活性があることを示した。本成果は、カゼインホスホペプチドの免疫賦活活性には種特異性がないことを示すものであり、牛乳を原料にして調製したカゼインホスホペプチドが免疫賦活を目的とした食品素材や各種家畜の飼料素材として利用できることを示唆している。なお、本成果を学術論文として投稿すべく、現在、準備中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H. Otani, Y. Kihara & M. Park: "The immunoenhancing property of a dietary cassin phosphopeptide preparation in mice"Food Agric. Immunol.. 12(印刷中). (2000)
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[Publications] M. A. Matin, M. Monnai & H. Otani: "Isolation and characterization of a cytotoxic pentapeptide, k-casecidin, from bovine k-casecin degested with bovine trypsin"Anim. Sci. J.. 71(2). 197-207 (2000)
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[Publications] M. A. Matin & H. Otani: "Release of cytotoxic glycopeptides from human acid casein fraction by the action of stomach proteinases"Milchwissenschaft. 55(1). 6-10 (2000)
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[Publications] M. Odashima, F. Takano & H. Otani: "Inhibitory properties of Japanise quail ovoinhibitor toward lymphocyte proliferation"Anim. Sci. J.. 71(1). 92-102 (2000)
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[Publications] 大谷 元(唐澤豊編): "21世紀の食・環境を考える"共立出版. 227(13) (1999)