1999 Fiscal Year Annual Research Report
横紋筋肉腫の組織学分類と予後推測のための臨床病理学的研究
Project/Area Number |
10670187
|
Research Institution | NATIONAL CANCER CENTER |
Principal Investigator |
長谷川 匡 国立がんセンター, 研究所・病理部, 研究員 (40281167)
|
Keywords | 横紋筋肉腫 / 網膜芽細胞腫 / 放射線治療 / 二次性腫瘍 / 病理診断 |
Research Abstract |
カドヘリンによる細胞同士の接着機構はがん細胞の形態形成と浸潤抑制に重要な役割を担っていることが知られている。しかしながら、上皮細胞の主なカドヘリンであるE型カドヘリンの骨・軟部肉腫における発現パターンについては知られていない。本年度の研究で様々な組織型を含んだ骨・軟部肉腫においてE型カドヘリンの発現を検討した。E型カドヘリンの細胞外成分に対するモノクローナル抗体HECD-1を用いて免疫組織化学的に検討したところ、1例の多形型横紋筋肉腫、2/5例のびまん性中皮腫、4/5例の淡明細胞肉腫、1/5例の類上皮肉腫、10例全ての滑膜肉腫にその発現が認められた。4例の骨肉腫、4例の軟骨肉腫、3例の原始外胚葉性腫瘍、1例の線維肉腫、4例の悪性線維性組織球腫、5例の脂肪肉腫、4例の平滑筋肉腫、6例の胞巣型および5例の胎児型横紋筋肉腫、4例の血管肉腫、4例の悪性末梢神経鞘腫瘍、2例の骨外性軟骨肉腫、2例の骨外性骨肉腫、3例の胞巣状軟部肉腫などその他の骨・軟部肉腫はE型カドヘリンが完全に陰性であった。今回の研究結果から滑膜肉腫などの上皮様形態をとる軟部肉腫において、その上皮様形態を形成する上でE型カドヘリンは一定の役割を果たしているものと推測された。今後、肉腫の組織診断、特に単相線維型滑膜肉腫と他の紡錘形細胞肉腫を鑑別する上でE型カドヘリンが免疫染色マーカーとして有用かどうかを検討するための研究が必要になるものと思われる。
|
-
[Publications] Haruhiro Sato, Tadashi Hasegawa, et al.: "Expression of E-cadherin in Bone and Soft Tissue Sarcomas : A Possible Role in Epithelial Differentiation"Human Pathology. 30(11). 1344-1349 (1999)