1998 Fiscal Year Annual Research Report
感染防御因子としての抗菌性,エンドトキシン中和蛋白による感染症治療への新戦略
Project/Area Number |
10670267
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
平田 陸正 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (20048359)
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Keywords | リポ多糖(LPS) / エンドトキシン / エンドトキシン結合蛋白 / 合成ペプチド / エンドトキシン中和 / エンドトキシン結合ドメイン / 抗菌活性 / 生体防御 |
Research Abstract |
CAP18は抗菌活性およびLPS中和活性をもつ18kDaの塩基性蛋白で140個のアミノ酸残基からなるが,そのC末端側の27残基(27mer)が活性ドメインである。初年度は,生体内での安定性を高めたり,より活性の高いペプチドを探索することを目的として,アミノ酸修飾体や置換体について種々の活性を比較検討し以下の成績を得た。 アミノ酸修飾体の活性 (1)27mer(F12-V38),22mer(El7-V38)のN末端およびC末端をそれぞれアセチル化,アミド化したペプチド(修飾体)のLPS結合活性は両端がフリーのものと同程度であった。(2)LPS投与による致死活性は修飾体で有意にブロックされたがフリーのものでは抑制されなかった。(3)E.coll O157に対する抗菌活性も修飾体で高かった。 アミノ酸置換体の活性 (4)27mer,22merのE22とK31を疎水性アミノ酸のロイシシ(L)で置換するとLPS結合活性は15〜30倍高まった。(5)LPS投与によるショック死も置換体の投与で有意に防御された。(6)O157に対する抗菌活性は置換体で10倍以上も高まった。(7)Lを他の疎水性アミノ酸であるフェニルアラニンで置換した場合も高い活性を示した。(8)1ケ所(E22)のみLで置換した場合,LPS結合活性および抗菌活性は2ケ所置換体とほぼ同じであったが,LPS中和能は低かった。 以上のことから、CAP18ペプチドの活性発現にはα-へリックス構造,親水性アミノ酸と疎水性アミノ酸の配列およびそれらのバランスが重要であることが認められた。また,アミノ酸修飾やアミノ酸置換ですべての活性が高まることから,これらのペプチドは生体内での安定性がより優れていることが示され,エンドトキシンショックなどの治療薬としての臨床応用が期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nagaoka I: "Evaluation of the expression of human CAP18 gene during neutrophil maturation in the bone marrow." J.Leukoc.Biol.64. 845-852 (1998)
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[Publications] Kirikae T: "Protective effects of a human 18-kilodalton cationic antimicrobial protein(CAP18)-derived peptide against murine endotoxemia." Infect.Immun. 66. 1861-1868 (1998)
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[Publications] 平田陸正: "顆粒球由来の生体防御因子:抗菌性ペプチドを中心として" Minophagen Medical Review. 43(1). 1-15 (1998)
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[Publications] 平田 陸正(分担): "エンドトキシン研究シリーズI" 菜根出版, 230 (1998)