1998 Fiscal Year Annual Research Report
中毒の指標としての血清コリンエステラーゼのホモ比活性
Project/Area Number |
10670326
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 正康 日本医科大学, 医学部, 教授 (00019639)
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Keywords | コリンエステラーゼ / モノクローナル抗体 / 酵素免疫測定法 / 有機リン |
Research Abstract |
精製ヒト血清コリンエステラーゼ(Butyrylcholinesterase,EC 3.1.1.8)をマウスに免疫し、その脾細胞をSP2/0ミエローマ細胞と融合した。限界希釈法を用いたクローニングにより、安定して抗ヒトコリンエステラーゼ・マウスモノクローナル抗体を産生する2種類のハイブリドーマ株を新規に樹立した。これらのハイブリドーマが産生する抗体は、ヒトコリンエステラーゼに対して高い特異性をもっており、サブクラスは、2種類ともIgG1、軽鎖はκであった。これらの抗体と市販のポリクローナル抗体を組み合わせてSandwich ELISAを行ったところ、ポリクローナル抗体のみを用いた場合に比べて感度が大きく向上し、検出限界は約10ng/ml、測定可能範囲はおよそ10〜5000ng/mlとなった。 本Sandwich ELISA法によって健常人16名の血清を測定したところ、コリンエステラーゼ濃度は、50.0±8.4 mg/l(Mean±S.D.)となった。また、ベンゾイルコリンを用いて測定したコリンエステラーゼ活性を用いて、酵素蛋白あたりの活性値、即ちホモ比活性を各サンプルについて求めたところ、22.6±1.5 IU/mg(同)となった。ホモ比活性のC.V.値は6.7%で、酵素濃度のC.V.値(16.8%)に比べて小さくなり、ホモ比活性が個人間の酵素濃度の変動を補正できる可能性が示された。今後は、更に検体数を増やし、解析を進める。 一方、有機リン系およびカーバメート系農薬などによる中毒時の判定に用いるには、ELISA系が、これらの阻害剤によって影響を受けない必要がある。今後は、多種類の阻害剤を用いて、検討を進める。もしも、強く影響を受けるような場合は、改めて、影響されないモノクローナル抗体の確立を試み、その上で、実際の中毒検体の解析を行なう。
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