1998 Fiscal Year Annual Research Report
新築ビルのオフィス内における多種揮発性物質による汚染および対策の評価方法の開発
Project/Area Number |
10670332
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
原 邦夫 財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (40250047)
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Keywords | VOC / 新築ビル / ホルムアルデヒド / ベイクアウト |
Research Abstract |
近年シックビル症候群が問題視されているが,その原因として揮発性有機化合物(VOCs)およびホルムアルデヒドが注目されるようになっている。 VOCsをTenaxTA管に捕集しGC/MSで分離分析する方法,ホルムアルデヒドをDNPH含浸固体捕集管に捕集しHPLCで分離分析する方法を検討した。両者の方法によって短時間の捕集で定量分析が可能であるが,TenaxTA管では低分子量のVOCsは捕集が困難であることが確認できた。 本方法を用いて,バックグラウンドレベルと思われる郊外の外気のVOCsおよびホルムアルデヒドを測定したところ,トータルVOCsで数10μg/m^3,ホルムアルデヒドで数ppbレベルであった。一方,新築ビルのオフィス内におけるVOCsを測定したところ,トータルVOCsで数100μg/m^3程度のレベルであった。また,新築ビルの未入居のオフィスで300C程度の温度にしてペイクアウトを行い,そのベイクアウトの前,その期間,およびその後で,トータルVOCsおよびホルムアルデヒドを測定した。その結果,若干ではあるがベイクアウト中の両者の濃度は上昇し,確かにベイクアウトによる効果がないわけではないことが明らかとなったが,ベイクアウトの前後での両者の濃度に大きな差が見られず,新築直後でないこともあり,べイクアウトの効果がそれほど大きなものでないという結果を得た。 現在においてもトータルVOCsの測定方法は統一されていないが,本方法のTenaxTA管捕集-GC/MS分析による室内のVOCsからみた汚染状態の評価およびべイクアウト対策の評価が可能といえるものであった。今後,低分子量のVOCsの測定方法の検討,VOCsの室内発生源の特定手法の検討が課題として明らかになった。
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