1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670374
|
Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
伊藤 昭好 財団法人 労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (30151492)
|
Keywords | 騒音 / 防音保護具 / 遮音性能 / 聴力保護 |
Research Abstract |
騒音職場で,耳栓を選択する際の重要なポイントとして,遮音性能に直接影響する外耳道との密着性があげられる。本研究では,測定に静穏な場所が必要な最小可聴値の上昇を測定するのではなく,工場に隣接した事務室等のように,騒音レベルが比較的大きな音環境下でも実施可能な聴覚試験方法を採用した遮音性能試験法を確立することをめざした。 実耳による耳栓の遮音性能の推定法に採用する聴覚試験法として音像定位法をとりあげ,昨年度試作した実験装置に改良を加えながら,実験室内で,従来より実施されている最小可聴値上昇法による測定結果と比較・検討を進めた。その結果,音像定位法による測定値と最小可聴値上昇法によるそれとは,10名の被験者の平均値において有意差は認められなかった。ただし標準偏差は前者の方がやや大きくなる傾向が認められた。 さらに暗騒音レべルを上昇させた場合について,音像定位法と最小可聴値上昇法によって5名の被験者の実耳において比較測定したところ,75dBA以上の暗騒音レベルにおいて最小可聴値上昇法の遮音測定値が減少したのに対し,音像定位法では暗騒音レベルの大小によらず安定した測定値を得ることができた。このことにより,音像定位法を用いることにより暗騒音レベルが大きな音環境下においても妥当な遮音性能試験が実施できることが明らかとなった。 また,音像定位法で用いる試験音については,純音よりむしろ帯域ノイズの方が,音像の定位がしやすく,測定値のばらつきも小さくなることが確認された。今後は,妥当な実験手順の設定,試験音の確定などを進め,測定法の精度をさらに向上させることが課題として残されている。
|