1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌の進展における血管新生の関与とその生物学的修飾に関する研究
Project/Area Number |
10670547
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
楊河 宏章 徳島大学, 医学部付属病院, 助手 (50263827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 栄治 徳島大学, 医学部, 助手 (90284281)
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Keywords | 血管新生 / 肺癌 / Th2サイトカイン / VEGF / 癌性胸膜炎 |
Research Abstract |
本研究の目的は肺癌患者を対象とし、担癌状態において血管新生の促進や抑制に関与する因子を解析し、その制御機構を特にTh2細胞由来サイト力インの面から明らかにすることであり、今回得られた成果は以下のように要約される。 1、癌性胸膜炎を対象とした癌局所におけるTh1/Th2バランス、血管新生促進因子、抑制因子の動態の解析。肺癌に合併した癌性胸膜炎において、Th2細胞由来サイトカインであるインターロイキン-10(IL-10)が存在し、マクロファージ機能などの細胞性免疫反応を抑制する可能性を示した。血管新生促進因子に関する検討ではvascular endothelial growth factor(VEGF)レベルが肺癌に合併した癌性胸膜炎において、良性浸出性胸水、漏出性胸水より有意に高いことを確認した。さらにVEGFは遠隔転移のある肺癌症例でより高値を示す傾向を認めた。 2、Th1/Th2バランスの偏位からみた肺癌治療法の検討。IL-15を用いた検討で、肺癌患者末梢血単核細胞(MNC)はIL-15刺激にて健常人のそれとほぼ同等のキラー活性を発現し、しかも遠隔転移を有さない例(StageI-IIIB)と遠隔転移の存在する例(StageIV)で末梢血MNCのIL-15誘導キラー活性に差はなかった。さらに、TIh2由来サイトカイン(IL-5,IL-10)の産生誘導能はIL-2よりIL-15が低く、Th1/Th2バランスの偏位におよぼす影響がより低いことから、臨床応用を考える上でIL-15はより有利である可能性を示した。。今後、肺癌患者に見られる血管新生促進因子と抑制因子の動態をTh1/Th2バランスとの関係を介してさらに詳細に解析する予定である。
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