1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞II型上皮細胞での肺サーファクタントの合成・輸送・分泌に関わるシグナル伝達機
Project/Area Number |
10670566
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
長内 和弘 金沢医科大学, 医学部, 講師 (70221158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栂 博久 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (90142554)
高橋 敬治 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50004685)
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Keywords | 肺胞II型上皮細胞 / 肺サーファクタント / ブレフェルジンA / 細胞内輸送 / 層状封入体 |
Research Abstract |
ラットから肺胞II型上皮細胞を単離し、DME培地に20時間培養した後、非付着細胞を洗い流し、DME培地に[^3H]コリンとゴルジ装置を消失させる作用をもつブレフェルジンAを加え細胞を4時間ラベルした。培養液に分泌された[^3H]フォスファチジルコリン(PC)と細胞内[^3H]PCを脂質抽出して測定したところ、ほとんど分泌はみられなかった。つぎにラベルした細胞をホモジナイズし、スクロース密度勾配超遠心法にて層状封入体分画を得たところ、[^3H]PCは時間依存性に同分画に集積しており、ブレフェルジンAの影響はみられなかった。すなわち、新合成フォスファチジルコリンはゴルジ装置とは独立した経路で層状封入体へ輸送されることが知られた。次に単離したII型細胞を[^<35>S]メチオニンとともに6〜20時間培養し、分泌された[^<35>S]サーファクタントプロテインA(SP-A)、細胞内[^<35>S]SP-Aおよび層状封入体分画[^<35>S]SP-Aを抗SP-A抗体を用いた免疫沈降法、SDS-PAGE、オートラジオグラフィーにて検出した。この結果、[^<35>S]SP-Aは層状封入体へは輸送されず、連続的に分泌されていた。ブレフェルジンAは分泌をほぼ完全に抑制した。すなわち、新合成SP-Aはゴルジ装置に輸送され、層状封入体へは輸送されずに連続的に分泌されることが知られた。以上より、肺サーファクタントの主成分であるフォスファチジルコリンとサーファクタントプロテインAはそれそれ全く別の細胞内経路で輸送されていることが知られた。今後はII型細胞をマトリゲルのような増殖因子の上に培養するほか摘出肺を用いてよりInvivoの条件に近い条件で上記の輸送経路が行われるかどうか検討する予定である。さらに塵肺の原因物質であるシリカ経気道投与に肺障害モデルでこの輸送経路に変化が起きているかどうか検討する予定である。
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Research Products
(1 results)