1998 Fiscal Year Annual Research Report
心筋と冠微小動脈のクロストークの障害・高コレステロール血症モデルブの検討
Project/Area Number |
10670625
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小丸 達也 東北大学, 医学部, 助手 (30261530)
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Keywords | 冠循環 / 心筋虚血 / 微小動脈 / 高コレステロール血症 / G蛋白 / ATP感受性K^+チャネル / 血管拡張 / 百日咳毒素 |
Research Abstract |
摘出冠微小動脈を拍動心に接触させて心筋と冠微小動脈とのinteractionを評価し、この反応における百日咳毒素感受性G蛋白(G_<PTX>)やATP感受性カリウムチャネル(K<+【chemical formula】TP>)の役割、高脂血症におけるこのinteractionの障害を検討した。雄ウサギ摘出心から冠微小動脈を摘出し、生理塩液中(血管内圧:60cmH_2O)で内因性血管トーヌス確認後、イヌ拍動心左室自由壁に静置。左前下行枝を閉塞させて虚血を作成、浮動型対物レンズと高速度ビデオカメラで摘出冠動脈の血管径変化を観察した。摘出血管に前処置を加えなかった対照群(n=6,内径174-296μm,平均232±22μm)、K<+【chemical formula】TP>阻害薬glibenclamide1μMで前処置した群(n=4,内径133-270μm,平均196±32μm)、百日咳毒素100ng/mlで前処置した群(n=4,内径176-297μm,平均250±27μm)の3群にわけた。対照群では虚血後直ちに拡張し、虚血4〜5分で最大拡張(16±3%)に達し、10分まで持続(14±5%)。nitroprusside(SNP:100μM)を投与しても更なる拡張は認めなかった。glibenclamide前処置では虚血による拡張は有意に抑えられ、虚血5分で6±5%,10分で6±4%の拡張であったがSNPにて18±5%拡張した。百日咳毒素で前処置すると虚血による摘出微小動脈拡張は完全に消失した。SNPによる拡張は保たれていた。続いてウサギを2群にわけ、一方は通常の餌で8週間飼育(NC群)、もう一方は2%コレステロール餌で8週間飼育(HC群)し、前述と同様に血管径変化を検討。未だNC群1例、HC群2例のみのデータで実験を重ねる必要があるが、NC群では虚血10分で約11%の拡張を示したのに対し、HC群では1.5%の内径変化にとどまり、高コレステロール血症における心筋-微小血管間crosstalkの障害が示唆された。以上より、虚血心筋はtransferableな血管運動シグナルを遊離しており、そのシグナルを介した心筋-微小動脈interactionにはG_<PTX>やK<+【chemical formula】TP>が深く関わっている。そして高コレステロール血症においてはこのcrosstalkに障害が生ずることが示唆される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小丸達也: "虚血心における冠微小血管機能" Therapeutic Research. 19. 2540-2542 (1998)
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[Publications] Komaru,Tatsuya: "Role of ATP-sinsitive potassium channel in the regulation of coronary microcirculation : Involvement of pertussis toxin-sensitive G protein" Journal of Moleular and Cellular Cardiology. 30. 4328 (1998)
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[Publications] 佐藤光一: "虚血心筋由来の血管拡張シグナルは微小動脈の百日咳毒素感受性G蛋白質を介して伝達される・・・心筋と冠微小動脈のinteraction解析による検討" Japanese Circulation Journal. 63. (1999)