1999 Fiscal Year Annual Research Report
心筋と冠微小動脈のクロストークの障害:高コレストロール血症モデルでの検討
Project/Area Number |
10670625
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小丸 達也 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30261530)
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Keywords | 冠微小動脈 / 心筋虚血 / 高コレステロール血症 / 血管拡張 / 百日咳毒素感受性G蛋白 / 生体信号伝達 / 生体防御 / 心筋血管間クロストーク |
Research Abstract |
ウサギを、高コレストロール食餌にて飼育したHC群(n=7)と通常の餌で飼育したNC群(n=5)の2群にわけそれぞれのウサギから摘出した冠微小血管をイヌ拍動心上に静置し、トロンボキサンA_2誘導体のU46619にて前収縮をかけた後イヌ心臓の左冠動脈前下行枝を結紮して心筋虚血を生ぜしめた時の摘出血管の反応を比較検討した。コレステロール餌によって血清コレステロールは著明に増加した(HC群:2269±180mg/dl、NC群:64±27mg/dl、p<0.05)。対象血管径は両群間に差がなかった(最大拡張時の血管径、NC群:237±15μm、HC群:210±22μm)。心筋虚血による冠微小血管内径変化率は両群間に有意差を認めなかった(NC群:虚血5分後7.2±2.6%,10分後5.1±5.0%、HC群:5分後5.1±2.1%,10分後3.9±1.6%)。両群の血管はニトロプルシド投与によりさらに著明に拡張した(NC群:27.0±6.2%、HC群:35.4±9.4%)。今回の実験結果からは、一見、高コレステロール血症によっては心筋と微小冠動脈との間のクロストークは障害されないという結論になるが、今回のNC群の血管反応と以前の前収縮をかけないで行った同様の実験の対照群のデータを比べてみると、明らかに今回のNC群で、虚血による摘出血管の反応が小さい。このことは、今回の実験プロトコールで新たに導入したトロンボキサンA_2誘導体による薬理的前収縮をかけずに、他の方法による前収縮(例えば内因性トーヌスのみによる前収縮)をかけた場合に異なる結果が得られる可能性があり、今後の検討が必要である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yan Wang et al.: "Effect of low doses of endothelin-1 on basal vascular tone and autoregulatory vasodilation in canine coronary microcirculation in vivo"Japanese Circulation Journal. 63・8. 617-623 (1999)
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[Publications] Tatsuya Komaru et al.: "Coronary Microcirculation : Physiology and pharmacology"Pharmacoloy and Therapeutics. (in press). (2000)
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[Publications] 佐藤光一 他: "虚血心筋由来の血管拡張シグナルは微少動脈の百日咳毒素感受性G蛋白を介して伝達される。"Japanese Circulation Journal. 63-suppl1. 394-394 (1999)
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[Publications] Kouichi Sato et al.: "Signals from ischemic myocardium are transduced to coronary microvessels via pertussis toxin-sensitive G protein"Circulation. 100・18. I・490-I・490 (1999)
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[Publications] 塩入 裕樹 他: "高コレステロール血症はアシドーシスによる冠微少動脈拡張を抑制する"Japanese Circulation Journal. 64・suppl1(in press). (2000)
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[Publications] 小丸達也: "冠循環のバイオメカニクス 5.1冠微少血管の調節と細胞内シグナリング"日本ME学会 梶谷文彦 (in press). (2000)