1998 Fiscal Year Annual Research Report
純化末梢血CD34陽性細胞を用いた新たな造血幹細胞移植戦略の開発
Project/Area Number |
10670736
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河野 嘉文 徳島大学, 医学部付属病院, 助手 (20260680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 力 徳島大学, 医学部付属病院, 医員
黒田 泰弘 徳島大学, 医学部, 教授 (20035471)
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Keywords | CD34陽性細胞 / G-CSF / アフェレーシス / HLA |
Research Abstract |
本研究は純化末梢血CD34陽性細胞を使用した新たな造血幹細胞移植戦略を開発するを目的としているが,研究初年度の平成10年はHLA不一致血縁者ドナーあるいは化学療法中の患者において,G-CSFを投与して末梢血幹細胞を採取し、さらに抗CD34抗体を用いて細胞を純化する方法を確立した. われわれはG-CSFを血縁ドナーに投与し末梢血幹細胞を採取し、現在までに18名の患者に同種移植を行い速やかな造血回復を観察した.この中の5例がHLA不適合ドナーからの末梢血CD34陽性細胞移植術であり,初期造血機能回復およびGVHDのコントロールについてはHLA適合ドナーからの移植と同等の効果が得られることを確認した.これらのドナーにおいてG-CSF製剤投与により、IL-8の内因性分泌が誘発されることを解明し,末梢血幹細胞の動員におけるIL-8の重要な役割を示した. G-CSFによる末梢血幹細胞動員効果は,すでに我々が実施した検討結果から10μg/kg/日と設定し,5日間の皮下投与の後に5日目と6日目にアフェレーシスを行なって採取した.対象となった3歳〜49歳までのドナーによる検討から、小児ドナーではG-CSF投与後の白血球数増加程度が小さく,頭痛や腰痛などの副作用頻度が低かった.これはG-CSF血中濃度が低いことが理由として考えられた.しかし,単位処理あたりあるいは体重あたりの採取細胞数は成人ドナーと同等であった.この点から判断すると小児が成人患者のドナーになる場合には10μg/kg/日以上のG-CSF投与が可能であることが推測された. 細胞の純化効率については,現在のところ70-80%の純度で回収率30%程度であるが,今後回収効率を上げるための工夫が必要であると考えられた.
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