1998 Fiscal Year Annual Research Report
表皮におけるセラミド1(acylceramide)の合成・代謝経路の解明
Project/Area Number |
10670784
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
関 太輔 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (30163083)
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Keywords | セラミド / 表皮 / ω-水酸化 / アシルセラミド / Minimoidin / Fumonisin B1 / ケラチノサイト / 分化 |
Research Abstract |
以下の実験を行って皮膚バリヤーの形成に重要な働きを有するセラミド1(ω-hydroxyacylceramide)の合成系路及び合成調節の一部を明らかにした。1.ヒト角化細胞(以下KC)を培養し、confluentになった段階で、(1)低濃度Ca(0.07mMCa^<2+>)無血清Keratinocyte Growth Medium(以下KGM)、(2)高濃度Ca(1.8mMCa^<2+>)無血清KGM、並びに(3)10%FBS添加のDMEM/Ham F-12(2:1)の培養液の条件に変更し、KCの分化(角化不溶性膜の合成を指標)とω-hydroxyceramide(以下ω-OHCer)の生成を比較した。その結果、(3)のKCの角化不溶性膜の合成が最も高く、同時にω-OHCer合成も高まった。また、細胞破壊物中のω-OHase活性の亢進も(3)の細胞で観察された。さらに、CYP4A(主要なω-OHase 酵素蛋白質)抗体を用いたWestern blottingにより(3)の細胞でCYP4Aの発現が最も強く認められた。これらの結果から、KCの分化に伴うω-OHCer合成の亢進が確認されと共に、ω-OHaseの発現と活性がω-OHCer合成の調節に重要であることが示唆された。2.(3)の培養系を用いてMinimoidin(脂肪酸の炭素鎖延長阻害剤)を添加したところω-OHCerの生成が抑制されたことから、ω.OHCerは長鎖脂肪酸が合成された後に生成されるものと推測された。3.(3)の培養系を用いてFumonisinB1(Ceramide synthase阻害剤)を添加してもω-OHCerが生成されたことから、ω-OHCerはいったん生成されたCerのω-末端が水酸化されて生成されるのではないということが推測された。以上の結果から、ω-OHCerはKCの分化とともに長鎖脂肪酸が生成され、そのω-末端が水酸化されてからsphingosineと結合して生成されてくるのではないかと推測された。
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