1999 Fiscal Year Annual Research Report
表皮におけるセラミド1(acylceramide)の合成・代謝経路の解明
Project/Area Number |
10670784
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
関 太輔 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (30163083)
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Keywords | セラミド / 表皮 / 角化 / アシルセラミド / 三次元培養 / バリヤー |
Research Abstract |
昨年度の実験によって、皮膚バリヤーの形成に重要な働きを有する角質細胞間脂質の一つであるceramide 1の前駆物質であるω-hydroxyceramide(以下ω-OHCer)は、(1)角化細胞の分化とともに合成が亢進する、(2)長鎖脂肪酸が先に合成され、そのω-末端が水酸化されてからsphingosineと結合して生成されてくる、ことが明らかになった。 今年度は、角化細胞が分化して行くどの時点でω-OHCerのω位の水酸基にlinoleic acidがester結合してceramide 1が生成されるかを検討した。昨年度はsubmerge培養法を用いたが、今年度はceramide 1の収量を十分確保する目的で三次元培養法を用いた。三次元ヒト培養細胞(test skin,東洋紡)を、角化が起こる以前(通常出荷の一週間前)に入手し、肉眼的に角化が確認される以前と角化後のceramide 1の収量を比較した。その結果、肉眼的角化後のceramide 1の収量がそれ以前のものと比較して優位に増加することから、ceramide 1は角化とともに生成が促進されることが判明した。この結果は、臨床的に確認されている角化とともにbarrier機能が高まる事実、ならびにceramide 1が少ないとされているアトピー性皮膚炎患者では角層のbarrier機能が低いという事実とも一致する興味深い結果であり、ceramide 1が角層のbarrier形成に重要な要素であることを示すものと考えられた。
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