1998 Fiscal Year Annual Research Report
核とミトコンドリアDNAのリボゾームDNA領域の多型に基づく白癬菌の同定
Project/Area Number |
10670811
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
望月 隆 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (80190958)
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Keywords | 白癬菌 / 同定 / 分子生物学 / リボゾームDNA / ITS |
Research Abstract |
好ヒト性白癖菌の同定は従来の形態学的方法ではしばしば困難であった。このため、これを正確かつ迅速に行うことを目的として各種分子生物学的マーカーの導入が図られている。本年度私は同定に有用と考えられる核内ribosomal DNAのITS l領域(ITS l)について検討を行ない、以下の知見を得た。 1 好ヒト性白癖菌の同定に際して参照するため、Arthroderma(A.)vanbreseghemii,Trichophyton(T.)rubrum,T.mentagrophytes(T.M.)var.intedigitale,Epidermophyton floccosum,Microsporum(M.)vanbreuseghemii,M.canis,M.gypseumの典型株について、邪1(0.2-0.3kb)の塩基配列を決定した。その結果、ITS lの塩基配列は菌種で異なり、例えば、ヒトから分離される頻度が高いT.rubrumとT.m.var.interdigitaleでは12%の差異が認められ、最も類似していたA.vanbreuseghemiiとT.m.var.interdigitaleでも2%の差異が認められた。よってITS lによりこれらの菌種の鑑別が可能と考えられ、本法は同定のマーカーとして有用と考えられた。 2 本法が実際に他の分子生物学的マーカーによる同定法との整合性を検討した。形態学的に同定が困難であった臨床分離株7株につきITS lの塩基配列による同定を試みた。その結果、これらの菌株はT.rubrumもしくはT.m.var.interdigitaleと同定されたが、これはミトコンドリアDNAの制限酵素分析、Random amplification of polymorphic DNA分析による同定結果と合致した。
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