1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体内エストロゲン受容体分布の画像化による乳癌の診断と治療方針の決定法の開発
Project/Area Number |
10670857
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 雅之 九州大学, 医学部, 助手 (40240907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 誠 九州大学, 医学部, 医員
藤原 雅人 九州大学, 医学部, 助手 (30304794)
吉田 毅 九州大学, 医学部, 助手 (40284509)
桑原 康雄 九州大学, 医学部, 助教授 (30150436)
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Keywords | ポジトロンCT(PET) / エストロゲン受容体 / F-18エストラジオール / 乳癌 / 腫瘍診断 / 治療効果判定 |
Research Abstract |
1) 16α-[^<18>F]fluoro-17β-estradiol(FES)は、16-epiestriolより合成した前駆体と、院内サイクロトロンより得た^<18>Fイオンを用いて合成した。溶媒は、5%エタノール・生理食塩水系混合溶媒、Tween80・エタノール・生理食塩水系混合溶媒または5%ヒト血清アルブミン・生理食塩水系混合溶媒の3種類を用いた。放射化学的純度は、98.2±0.95%、比放射能は36.5±1.25GBq/μmolであった。 2) FESの体内分布を検討するために、未成熟雌Sprague-Dawleyラット105匹(24-28生日、体重73.5±10.0g)の尾静脈よりFES1.79±1.05MBqを静注し、7,15,30,60,120,180,240分後に血液、子宮、卵巣、筋肉、肝臓、脾臓、腎臓、食道、肺、心臓、脳、骨を各5匹より摘出し、重量、放射能を測定した。FES集積は、体重で補正した投与量に対する集積(SUV)で評価した。 3) 投与後1ヶ月間の観察にて、死亡例はなく、体重の異常も見られず、各臓器の外観や重量に異常は見られなかった。 4) エストロゲンの標的臓器である子宮のFES集積は、FES投与後30分以内に最高値に達し、以後漸減した。子宮における投与1時間後のFES集積は、5%エタノール・生理食塩水系混合溶媒にて1.68±0・44SUV、Tween80・エタノール・生理食塩水系混合溶媒にて2.50±0.74SUV、5%ヒト血清アルブミン・生理食塩水系混合溶媒にて3.15±0.59SUVであり、溶媒の違いによる有意差は見られなかった。非標的臓器である筋肉のFES集積はそれぞれ、0.06±0.02SUV、0.05±0.02SUV.0.06±0.01SUVとわずかであった。 5) FES集積の特異性を検討するために、非標識estradiol 15μgをFESと同時投与し、FES集積を測定した。標的臓器である子宮のFES集積は各溶媒でそれぞれ、10.7%、7.2%、5.4%に抑制された。 6) 以上より、FESの前臨床段階における安全性、特異性、有用性が確認された。
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