1998 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者への構造化された介入の精神神経免疫学的研究
Project/Area Number |
10670918
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
保坂 隆 東海大学, 医学部, 講師 (10156995)
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Keywords | がん / 精神神経免疫学 / 精神科的介入 / 免疫機能 |
Research Abstract |
1) がん患者への精神科的介入として,どこの施設で誰が行っても一定以上の効果が得られるようなマニュアルを作成した。これは,毎回90分で毎週1回で計5回行うものである。この構成要素は,その構成要素は,(1)心理社会的教育(がんとストレスの関係,情緒状態と癌の進行の関係,情緒状態と免疫機能の関係,などを説明する),(2)問題解決技法(日常的な問題点や困難に対して現実的・具体的な解決方法を説明する),(3)支持的精神療法(受容・励まし・保証,などにより情緒状態の改善を図る),(4)リラクセーション(漸進性筋弛緩法や自律訓練法などにより心身のリラクセーションを図る),(5)イメージ療法(リラックスした状態でリンパ球やがん細胞をイメージし,がん細胞が退縮したり死滅していく場面をイメージさせる)などである。 2) 乳がん患者に,主治医とともに本研究の意義や,拒否・中断したとしても不利益を被ることがないことを十分に説明した上で,文書による同意書を得て,10人ずつのグループになり,上記の「構造化された」に参加した。 3) カウンセリング前の情緒状態を評価するために,Profile of Mood States(POMS)質問表を施行し,免疫機能としてリンパ球サブセットやナチュラルキラー(NK)細胞活性をなどを測定した。 4) 終了後,再び上記の質問表を施行し,免疫機能も測定し,介入前後の情緒状態と免疫機能を比較した。 5) 質問表のみ施行した40名では,POMS質問表からわかる抑うつ・活気の無さ・緊張や不安・混乱・情緒不安定などの各項目で著明にスコアが減少,すなわち情緒状態が改善することが分かった。免疫機能の測定が可能だった対象はまだ10名と少なく,統計学的な検討は出来なかった。
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