2000 Fiscal Year Annual Research Report
膵ランゲルハンス島細胞の発生・増殖機構に関する発生工学的解析
Project/Area Number |
10671036
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山岡 孝 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 助教授 (40263826)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 弘 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (50211305)
野地 澄晴 徳島大学, 工学部, 教授 (40156211)
板倉 光夫 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (60134227)
|
Keywords | 膵島 / 膵β細胞 / トランスジェニックマウス / Pax6 / Reg I / 糖尿病 / アポトーシス / 腫瘍発生 |
Research Abstract |
1.Pax6をインスリンプロモーターあるいはPdx1プロモーターで膵臓に発現させるトランスジェニックマウス:3系統ずつ、計6系統のトランスジェニックマウスを確立した。どちらのプロモーターを使用しても膵β細胞の分化異常と、数の減少により糖尿病が発症した。また、Pdx1プロモーター/Pax6-トランスジェニックマウスでは、外分泌組織が低形成で、しかも、膵管上皮細胞原発の嚢胞腺腫が発生した。すなわち、Pax6は、未分化な膵管上皮細胞と膵島前駆細胞の増殖を促進する作用と、膵α細胞のフェノタイプを誘導する作用、の2つの作用を有すると考えられた。また、β細胞と外分泌細胞の正常発生にはPax6の発現が抑制されることが必要である。 2.Reg Iをグルカゴンプロモーターで膵α細胞に発現させるトランスジェニックマウス:3系統のトランスジェニックマウスを確立した。Reg Iの過剰発現は正常膵β細胞にアポトーシスを引き起こし、糖尿病が発症した。また、トランスジェニックマウスでは膵管上皮細胞にPCNA陽性細胞が目立ち、Reg Iは本来、膵管内に分泌され、膵管上皮細胞が標的細胞である可能性が示された。さらにReg Iの慢性的な全身的過剰は腫瘍発生(膵臓癌、肝細胞癌、子宮平滑筋肉腫、卵巣癌、頚部悪性リンパ腫、涙腺癌)を促進することが明らかになった。これはReg Iを臨床応用する際には留意すべき点である。
|
-
[Publications] Takashi Yamaoka: "Diabetes and Pancreatic Tumours in Transgenic Mice Expressing Pax 6"Diabetologia. 43・3. 332-339 (2000)
-
[Publications] Takashi Yamaoka: "Diabetes and Tumor Formation in Transgenic Mice Expressing Reg I"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 278. 368-376 (2000)
-
[Publications] Kenji Sasahara: "Molecular Cloning of a New Member of the Reg Family, INGAP-related Protein"Biochim.Biophys.Acta. 1500. 142-146 (2000)
-
[Publications] Kenji Sasahara: "Molecular Cloning and Expression Analysis of a Putative Nuclear Protein SR-25"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 269. 444-450 (2000)
-
[Publications] Maki Kondo : "The Rate of Cell Growth Is Regulated by Purine Biosynthesis via ATP Production and G1 and S Phase Transition"J.Biochem.. 128. 57-64 (2000)
-
[Publications] Tohru Kikutsuji: "Dominant Expression of Type-2 Somatostatin Receptor Subtype in Human Exocrine Pancreatic Cancers"J.Hepatobiliary Pancreat.Surg. (in press).