1999 Fiscal Year Annual Research Report
β・カテニン遺伝子異常によって誘導される大腸癌関連遺伝子の単離
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10671184
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三好 康雄 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50283784)
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Keywords | β-カテニン / ディファレンシャルディスプレー法 / L-cell |
Research Abstract |
99年度科研費報告書 β-カテニンの遺伝子異常による癌化のメカニズム解明のため、われわれは活性化したβ-カテニンによって、発現が誘導される遺伝子を同定することを目的として実験を行った。初年度、マウスの線維芽細胞由来の細胞株L-cellに、正常型β-カテニン、あるいはエクソン3を欠損した変異型β-カテニンを導入し、安定発現株を樹立することに成功した(それぞれLN cell、LM cell)。そして、LM cellにおいて導入した変異蛋白の著明な蓄積を確認した。LM cellではLN cellに比べて重層化する発育形態と、血清要求性の低下が認められ、β-カテニンによってもたらされる変化と考えられた。この系を用いたディファレンシャルディスプレー法から、各cell line間で発現量に差のある遺伝子断片を複数個単離した。そのうち、発現がβ-カテニンによって誘導、あるいは抑制されることを、RT-PCR法あるいはNorthern法にて確認し、変化が同定された遺伝子に関しては、遺伝子全長の塩基配列を決定した。さらに各遺伝子について、相同性のある遺伝子をデーターベースで検索したところ、2つは既知の遺伝子であったが、残り4つは新規遺伝子であることが確認された。既知の遺伝子としては、白血球の遊走に関わる蛋白と、プロテアソームのサブユニットであった。新規遺伝子のうち一つは、染色体の構造維持に関わる蛋白との相同性が認められた。その他の遺伝子に関しては、相同性を有する蛋白は報告されておらず、機能は未知である。それぞれの新規遺伝子に関しては細胞内に遺伝子を発現させることによって、機能解析をおこなった。
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Research Products
(1 results)