1998 Fiscal Year Annual Research Report
散発性大腸癌におけるhMLH1非発現機構の解明:転写因子の同定と検索法の確率
Project/Area Number |
10671223
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 教一 東邦大学, 医学部, 講師 (60256740)
辻田 和紀 東邦大学, 医学部, 助教授 (60130374)
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Keywords | ミスマッチ修復遺伝子 / hMLH1遺伝子 / 発現抑制 / microsatellite instability / 大腸癌 / 転写調節領域 / CpG island / hypermethylation |
Research Abstract |
近年、多くのがん遺伝子やがん抑制遺伝子が同定され、これら遺伝子異常の累積が消化器癌、特に大腸癌の多段階発癌に重要な役割を演じていると考えられている。我々は遺伝子異常の蓄積を誘発する機構の1つとしてmismatch repair(MMR)systemの異常に注目し、MMR遺伝子の1つであるhMLH1遺伝子の転写調節機構に異常があることおよびその頻度がかなり高いことが予想される研究結果を得た。そこで本年度はhMLH1タンパク発現抑制機構を明らかにする目的で以下の実験を行った。 (1) hMLH1遺伝子上流域のmethylationと発現抑制の検討 a) hMLH1タンパク非発現ヒト大腸癌由来細胞株を脱メチル化剤azacytidineで処理し、hMLH1タンパク発現を調べたところ、脱メチル化された細胞では僅かではあるがタンパク発現が認められた。 b) 臨床検体のゲノムDNAを用いてhMLH1遺伝子上流域のCpG islandのmethylationをbisulfide法で調べたところ、hMLH1タンパク非発現例6例のうち1例でまた発現例5例のうち1例でhypermethylationが認められた。 これらの結果から多くの臨床例ではCpG islandのhypermethylationがhMLH1タンパクの発現抑制に関わっている可能性が低いことが示唆された。 (2) hMLH1遺伝子発現調節領域の特定 hMLH1遺伝子発現に必要な領域を特定化するために、上流域約1200から100bpの範囲を含むDNA断片をPCRにて増幅した。今後、これらのDNA断片をレポータープラスミド組み込み、レポーターアッセイを行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 岩崎維和夫: "cisplatin耐性神経芽腫細胞株の樹立とミシマッチ修復遺伝子hMSH2およびhMLH1タンパクの発現" 小児がん. 35(2). 159-163 (1998)
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[Publications] 岩崎匡洋: "散発性大腸癌におけるDNA修復遺伝子発現異常の解析" Vita. 15(2). 55-61 (1998)
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[Publications] 逸見仁道: "TGF-βRII遺伝子異常と大腸がん" 血液・腫瘍科. 38(4). 294-304 (1998)
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[Publications] Yang,H-W: "A polyclonal antibody against synthetic peptides conserved in N-Myc oncoprotein reacts with water-soluble recombinant N-Myc protein." Oncology Reports. 6(1). 107-111 (1999)
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[Publications] 金澤真作: "microsatellite instability検出のためのlocus markerの基礎的検討" 腫瘍マーカー研究会誌. 14(印刷中). (1999)
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[Publications] 有田通恒: "DNAミスマッチ修復タンパクhMSH2およびhMLH1抗体の特異性と免疫化学的検討" 腫瘍マーカー研究会誌. 14(印刷中). (1999)