1998 Fiscal Year Annual Research Report
小児心臓手術における高周波数QRS電位を用いた非侵襲的心機能評価法の確立
Project/Area Number |
10671239
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
厚美 直孝 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (00175176)
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Keywords | 加算平均心電図 / 小児開心術 / 心筋障害 / 高周波数QRS電位 / 左室内圧-容積関係 / 心収縮力 |
Research Abstract |
1) 小児開心術における高周波数電位の変化とその意義 小児開心術症例において、麻酔導入後および大動脈遮断解除後の高周波数QRS電位の変化および術後の逸脱酵素との関係について検討した。高周波数QRS電位は、麻酔導入後に比べて大動脈遮断解除後は大きく減衰した(前値の37.2±15.4%)が、その後時間経過と共に回復が見られた。高周波数QRS電位の回復に要した時間と、大動脈遮断時間との間に正の相関関係(r=0.81,p=0.0009)を認めた。この回復時間は術後のCPK-MB分画と高い正の相関(r=0.81,p=0.0042)を示した。この結果から、高周波数QRS電位の減衰と回復に要する時間は、大動脈遮断中の心筋障害の指標となりうる可能性が示唆された。 2) 微小高周波数電位の変化と心機能の関連 ラットを全身麻酔下に開胸し、心外膜に刺入した電極から高周波数QRS電位(RMS)を求め、左室心尖から挿入したコンダクタンスカテーテル、先端圧測定カテーテルから左室内圧-容積関係を求めた。この状態でラットを低換気状態にし、両者の変化を検討した。低換気状態では、Emax、PRSW(仕事量)は低下し、正常換気に戻すと回復を認めた。RMSも同様の変動を認め、両者の間に相関を認めた。%RMSの%Emax、%PRSWに対する相関はそれぞれr=0.73,p<0.0001,r=0.62,p=0.0001であった。この結果から、高周波数QRS電位の変動は、心収縮力を反映することが示唆された。
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