1998 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系における分子シャペロンの誘導とその機能の解明-新しくクローニングされた細胞質型HSP60の脳虚血における役割-
Project/Area Number |
10671281
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
木内 博之 秋田大学, 医学部, 講師 (30241623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 英晃 秋田大学, 医学部, 助教授 (80168369)
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Keywords | 熱ショック蛋白 / HSP60 / HSP10 / 脳虚血 |
Research Abstract |
今年度はラット局所脳虚血モデルにおけるheat shock protein(HSP)60とHSP10のmRNAおよびHSP60蛋白の発現について検討した。 雄性Sprague-Dawleyラットを用い、麻酔下に経内頸動脈的にナイロン糸を挿入し、中大脳動脈(MCA)閉塞モデルを作成した。血流再開群として、30分および60分のMCA閉塞後血流再開1,4,8,24,48時間の時点で、非血流再開群としてMCA閉塞後30分、1,4,8,24,48時間の時点で断頭し、虚血領域の脳摘出し、凍結した。mRNAの発現の同定には、RT-PCR法とin situ hybridization法を用い、蛋白の発現については、免疫染色を用いた。 In situ hybridizationによりHSP60およびHSP10のmRNAの発現が明瞭に描出された。コントロール群では、それぞれ、海馬と梨状葉にごく少量発現されたが、それ以外の部位にはほとんど発現されなかった。血流再開群では両群ともMCA領域の皮質に血流再開4時間から48時間にかけて誘導されたが、発現のピークは血流再開8時間であった。非血流再開群では、MCA閉塞後4時間より虚血領域の辺縁部に沿ってのみ発現していた。HSP10mRNAはHSP60mRNAと同様の発現動態を呈した。 RT-PCRによるHSP60およびHSP10のmRNAの虚血領域における誘導を定量したが、血流再開8時間でいずれもコントロールの約7-8倍に増加し、血流再開24時間で減少傾向にあった。 抗体が作成できたのは、HSP60のみであったが、免疫染色にて描出することができなかった。 以上より、脳虚血において虚血須域にHSP60およびHSP10がともに、誘導され、その発現領域および時間経過は極めて類似していることが明らかとなった。
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