1999 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系における分子シャペロンの誘導とその機能の解明-新しくクローニングされた細胞質型hsp60の脳虚血における役割-
Project/Area Number |
10671281
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
木内 博之 秋田大学, 医学部, 講師 (30241623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 英晃 秋田大学, 医学部, 助教授 (80168369)
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Keywords | 熱ショック蛋白 / 分子シャペロン / 脳虚血 / ストレス蛋白 |
Research Abstract |
近年、蛋白質の折り畳みに分子シャペロンが関与することが明らかとなってきた。この分子シャペロンには、折り畳みの初期段階に作動する熱ショック蛋白(hsp)40およびhsp70と、後期過程に結合するシャペロニンが存在する。後者には2つのサブユニットであるhsp60とhsp10があり、複合体を形成することにより機能を発揮するとされている。しかし、細胞侵襲下でのシャペロニンの発現および役割については、いまだ十分な検討はなされてはいない。本研究は局所および前脳の2種類の異なる脳虚血におけるhsp60およびhsp10遺伝子の誘導について、解剖学的発現部位と時間経過を検討したのもである。1)局所脳虚血.S-Dラットの中大脳動脈(MCA)閉塞モデルを用いた.Hsp60とhsp10mRNAはMCA領域の皮質にのみ誘導され、24時間でも誘導が持続した。一方、90分虚血群では虚血中心部を除く周辺部の皮質と虚血領域外である同側海馬に誘導された。血流再開後、両mRNAの発現量は8時間でピークとなった。 2)前脳虚血.S-Dラットにおいて、脱血性低血圧と両側総頚動脈遮断により前脳虚血モデルを作成した. 10分虚血後の血流再開により歯状回にまず両mRNAの誘導が生じ、その後さらに海馬CA1-4、被殻、大脳皮質全体にも誘導された。血流再開1日では海馬CA1のみに両mRNAの誘導が残存していたが、4日以降はその部位の遅発性神経壊死に一致して発現が消失した。本研究において、初めて、脳虚血後のシャペロニンサブユニット遺伝子の発現部位と時間経過を明らかにした。脳虚血においてこれらシャペロニンサブユニット遺伝子の誘導パターンが完全に一致したことは、ミトコンドリアにおける虚血後蛋白質修復過程に重要な役割を有することが示唆された.
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