1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671349
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
緒方 敏子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80014314)
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Keywords | 骨芽細胞 / 機械刺激 / チロシンリン酸化 / ERK / Shc / egr-1 / EGF / bFGF |
Research Abstract |
機械刺激が骨の細胞を刺激するメカニズムを明らかにするため、マウス由来骨芽細胞様細胞株、MC3T3E1、に培養液流動という刺激を負荷した。私は、既に、この刺激を受けた細胞が、刺激30分後に、egr-1 mRNAの増加を示すこと、更に、この反応にはチロシンキナーゼが関与し、又、培養液中に血清が必要であることを見出しているので、本研究において、培養液流動がどのような蛋白をチロシンリン酸化し、そこに必要な血清中成分が何であるかを検討した。刺激前後のCell lysateのウエスタンブロッティング、及び、免疫沈降による研究は、ERK2、Shcを含む多くの蛋白のチロシンリン酸化の亢進、及び、ERK1/2の活性化が、刺激後数分以内に起ることを示した。この結果は培養渣流動によって誘導されるシグナルが、増殖因子刺激後に誘導されるものとよく似ていることを示している。そこで、無血清の培養液にEGF、又は、basic-FGFを添加してみた。これらの増殖因子は、無血清培養液では起こらないこれらの反応を回復した。EGFレセプターのキナーゼ活性阻害剤は、EGFを含む無血清の培養液流動によって誘導されるチロシンリン酸化の亢進、ERK1/2の活性化、egr-1 mRNAの蓄積をブロックした。これらの結果は、培養液流動によって誘導される細胞の反応には、増殖因子のシグナル伝達が関与していることを示唆する。また、培養渣流動を繰り返し細胞に負荷すると、egr-1 mRNAは繰り返し上昇することを見出した。骨の機械刺激は組織液の流動を亢進するといわれているので、以上に述べた様なことが、機械刺激の下にある骨の細胞においても起こり、生理的に重要な働きをしている可能性がある。
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