1998 Fiscal Year Annual Research Report
股関節臼蓋唇の役割-臼蓋発育および先天性股関節脱臼への影響-
Project/Area Number |
10671394
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
井上 明生 久留米大学, 医学部, 教授 (30107057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 富士男 久留米大学, 医学部, 講師 (60131778)
平沼 成一 久留米大学, 医学部, 助手 (20268915)
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Keywords | 臼蓋唇 / 臼蓋唇切除 / 臼蓋の発育 / 臼蓋形成不全 / 動物実験 |
Research Abstract |
股関節臼蓋唇の切除が臼蓋の発育に及ぼす影響を調べるために、ニホンザル幼獣の片側臼蓋唇を塩酸ケタミンによる麻酔下に無痛性に切除し、経過を観察中である。臼蓋唇の切除部位は、四足歩行のサルにとって荷重部となる臼蓋背側の臼蓋唇を切除し、対側の股関節は無処置でコントロールとした。現在まで10例に処置を行っている。切除した臼蓋唇はhemataxylin-eosin染色を行い組織学的に検索し、硝子軟骨を含まずに切除されたものをA群(5例),硝子軟骨を含んで切除したものをB群(5例)とした。 これらの個体に対し経時的にレントゲン撮影を行っている。レントゲン撮影は、股関節90゚開排位にて行い、臼蓋の背側の臼蓋唇切除部が観察し易いように、通常の股関節正面像に加えて頭側,尾側に30゚角度をつけての撮影を合わせた三方向からの撮影を行った。それらの画像をコンピューターに取り込み、画像計測ソフトにて臼蓋角(Acetabular angle),Acetabular Index,臼蓋外側縁傾斜角(Acetabular edge angle ),WibergのCE角の測定を行っている。 現在までの平均経過観察期間は17ヶ月、最長経過観察期間は31ヶ月、最短経過観察期間は12ヶ月である。 AEA以外の計測値は健側と患側の差を求め、それらの値を対週数において回帰検定を行い、その傾きを検定した。またA群,B群については、各個体の経過観察期間がばらばらであるため週数の自然対数を説明変数とした検定も行った。 現時点ではA群,B群ともに明かな臼蓋形成不全を示す結果は得られず、臼蓋唇切除は平均17ヶ月の時点では臼蓋形成に変化を与えないことがわかったが、今後成長終了までの経過観察ならびに組織学的検索も必要であると考えられる。
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