1998 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌に対する成長因子受容体を用いた新しい遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
10671474
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中原 満 広島大学, 医学部, 助教授 (70155802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 昭郎 広島大学, 医学部・附属病院, 助手
三田 耕司 広島大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 成長因子 / 遺伝子治療 / 前立腺癌 |
Research Abstract |
1. ラットwild-type FGFR2IIIb遺伝子のクローニングとホルモン非依存性ラット前立腺癌細胞株AT3細胞への導入および選択。 リポソーム法によって導入したFGFR2IIIb遺伝子の発現量を^<125>I-labeled FGF-7を用いたbinding assayによって評価し、放射活性が非導入AT3細胞の10倍以上を示すクローンをFGFR2IIIb導入AT3細胞として選択した。 2. 導入AT3細胞のin vitroにおける生物学的特性 In vitroにおいて、非導入AT3細胞は紡錘形であるのに対して、FGFR2IIIb導入AT3細胞は細胞形態が変化し、ホルモン依存性癌細胞の形態に類似した円形を示したが、分化誘導の指標として用いたcytokeratin蛋白の発現は認められなかった。増殖特性については、導入AT3細胞の倍加時間は非導入細胞の約2倍に延長、さらにFGF-7の添加によって約8倍に延長した。なお、FGF-7による倍加時間の延長効果は濃度依存性であり、10-100ng/mlでピークを示した。 3. 導入AT3細胞のin vivoにおける生物学的特性 FGFR2IIIb導入AT3細胞から形成される腫瘍のサイズは非導入細胞のそれに比較して有意に小さく、in vivoにおいてもFGFR2IIIbの増殖抑制作用が明らかとなった。形成された腫瘍におけるケラチンの発現をみると、非導入細胞ではケラチンの発現がみられないのに対して、導入AT3細胞では発現が認められた。 以上の成績からホルモン非依存性前立腺癌細胞はFGFR2IIIb遺伝子の導入によってFGF-7依存性に増殖が抑制され、さらに、in vivoにて形成されたFGFR2IIIb導入AT3細胞ではケラチンが発現しており、FGFR2IIIbは分化を誘導するものと考えられた。
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Research Products
(1 results)