2000 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚器の発生および再生時における神経線維回路網形成に関する蛋白分子の解析
Project/Area Number |
10671624
|
Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
瀬尾 徹 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30258149)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10212127)
阪上 雅史 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10170573)
八田 千広 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00289076)
|
Keywords | 有毛細胞 / 神経回路形成 / 発生 / 再生 / シナプス / NCAM-H / NGF / MAP-2 |
Research Abstract |
内耳有毛細胞は原子より小さいスケールの移動を感知しそれを電気刺激に変換し、中枢神経へ伝える極めて高度に分化した感覚受容器である。聴覚上皮は2種類の有毛細胞と支持細胞により構成されており、おのおのの有毛細胞はそれぞれ違った神経支配(遠心性・求心性)を受けている。これらの有毛細胞の発生時や再生時において、神経線維の回路形成にいかなる物質が関与するかは不明である。このたびこの神経回路形成に関与する物質の同定とどの時期に発現するかを検討した。 神経組織の形成には細胞間の相互認識、神経線維先端部の回路網形成に関与蛋白分子あるいは細胞間の接着に関係する蛋白分子が重要である。そのため神経細胞間の相互認識接着と形態形成に関与すると考えられているCa非依存性のHighly polisialilated neural cell adhesion molecule(NCAM-H)、神経成長因子であるNerve growth factor(NGF)および微小管関連蛋白であるMAP-2の発現を電子顕微鏡でのステージ分類に従って免疫組織学的手法にて観察した。 神経節細胞が形成される時期にNGFおよびNCAM-Hは神経節細胞体に発現した。その後神経節細胞から求心性神経線維が伸長するに従いNGF・NCAM-Hは求心性神線維から有毛細胞のシナプスに強く発現した。その後有毛細胞が成熟するに従いNCAM-Hの発現は消失した。MAP-2においては未熟な有毛細胞には発現せずに、成熟有毛細胞体や再生有毛細胞体に発現した。 今回の結果よりNCAM-Hが求心性神経線維の伸長や有毛細胞とのシナプス形成に深く関与する可能性が考えられた。またMAP-2が成熟有毛細胞や再生有毛細胞の形態維持や神経情報をシナプスに伝達する働きがあることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Umemoto M,Sakagami M.: "Expression of gicerin in regenerating chick inner ear following Acoustic trauma."21th Association for research in otolaryngology midwinter research meeting. 21. 160 (1998)
-
[Publications] 梅本匡則,阪上雅史: "鳥類内耳再生時におけるMAP2の経時的変化について"頭頚部自律神経. 12. 24-25 (1998)
-
[Publications] Sakagami M.: "Role of osteopontin in the rodent inner ear as revealed by In situ hybridization"Med.Electron Microsc.. 33. 3-10 (2000)